2026年度の中学受験を目指すご家庭は、そろそろ第一志望校・併願校を決定する時期だろう。
リセマムでは昨年に引き続き「中高6年間一貫教育を考える会」と連携し、お勧めの私立中学校をピックアップ。同会が発行する『とっておきの私立中学校』の中から抜粋して、注目校の魅力をお伝えしていく。
本記事でご紹介するのは、富士見丘中学校。東京都渋谷区にある中高一貫の女子校だ。学校長・吉田 晋先生からのメッセージの他、特色のあるプログラム等を紹介する。
教育目標
「グローバルコンピテンシー」を育てる
今まで教師が教えてきた「正解」はAI(人工知能)が瞬時に答え、「正解」の積み重ねのうえに成り立ってきた産業社会においてもAIが人間に取って代わっていくでしょう。従来の学校教育が育んできた学力だけでは第4次産業革命と呼ばれる現代社会の大転換に応じきれないのです。人間には既存の枠組みを超えた柔軟な思考と大胆な発想に基づくイノベーションが求められていきます。
また、グローバル化の進展や複雑化する社会構造は、異文化圏の人々や考えの異なる人々との連携や協働を必要とし、その中で身近な問題からグローバル・イシュー(地球規模の課題)まで、さまざまな問題の解決に取り組まねばなりません。そこでは粘り強く真摯に問題解決に取り組む姿勢やコミュニケーション能力も必要になってきます。
文部科学省指定のスーパーグローバルハイスクール(SGH)実績校である本校は、英語4技能教育を土台とした英語コミュニケーション能カの育成によって、グローバルな連携や協働を可能にしつつ、SGHプログラムの中核となる高大接続プログラムや国内外でのフィールドワークを通して、未知の問題にチャレンジする旺盛な行動力を育んでいきます。
21世紀のグローバル社会で必要とされる4つのコンピテンシーは (1)豊かな教養 (2)柔軟かつ創造的な思考力・判断力・表現力(3)主体性をもって多様な人々と協働する姿勢(4)英語4技能・ICTを活用する高いコミュニケーショスキルと考えています。国際性豊かな若き淑女を輩出すべく、21世紀のグローバル社会を生きる力=グローバル・コンピテンシーを育てているのが富士見丘学園なのです。

進路、進学に対する考え方は?
同校では、多様化する大学入試のあり方に対応する目的で、1)英語4技能資格の有効活用、2)探究学習による主体的な学びの経験をポートフォリオに蓄積、3)基礎学力の充実を目指し、中学1年からさまざまな働きかけを行っています。その結果、大学合格実績は、週刊ダイヤモンド(2024年11月30日号)の「中高一貫校レバレッジ度総合ランキング」首都圏第1位など、伸びる進学校として高く評価されています。2025年の卒業生においても、国内外の難関大学に数多くの合格者を輩出しています。

外に向かって挑戦できる人
「国際性豊かな若き淑女の育成」に向け、さまざまな国際交流・留学プログラムを用意しています。中学3年のオーストラリア修学旅行では、姉妹校を訪問し交歓行事や授業体験に参加。現地生徒との交流を図ります。
中3以上の希望者を対象とする「イギリス短期留学」では、長期休暇中にホームステイをしながら語学研修、アクティビティを行います。高校1・2年の校内選考を通過した生徒に向けてはイギリス・カナダ・オーストラリア・グアムの姉妹校への「ターム留学」(計20名)も用意されています。

SGHからWWLへ
文部科学省からSGHとしての5年間の実績が高く評価された同校は、2020年3月、さらにSGHの進化形である「WWLコンソーシアム構築支援事業・拠点校」に指定されました。
WWLは「ワールド・ワイド・ラーニング」を意味し、国内外の事業提携校とコンソーシアム(共同事業体)を構築する拠点校として、さらなるグローバル教育の推進を託されました。同校はSGHとして追究してきたサステイナビリティ(持続可能性)を、国連が掲げるSDGs(持続可能な17の開発目標)に昇華させ、海外フィールドワークや課題研究活動も次なるステップに高めるとともに、SDGsの諸問題解決に向けた高校生による国際会議の開催などを通して、より高次元のアドバンスト・ラーニング・ネットワークを構築していくことになります。

高大連携 アクティブラーニングプログラム
富士見丘が進めるプログラムのひとつとして高大連携プログラムがあります。高1の慶應義塾大学院メディアデザイン研究科との連携は「グローバルスタディ基礎講座」において、年間全8回のグローバルワークショップを実施しています。
この授業ではファシリテーターとして参加する大学院生の半数が留学生。各グループに英語でアドバイスをしてくれて、大いに刺激になっています。高2になると連携先は海外にも及び、「グローバルスタディ演習」で実施される海外フィールドワークでは、台湾、マレーシア、グアムの高校・大学・企業の協力を得て、現地調査、現地関係者へのインタビュー、地元高校生とのディスカッション交流などを行います。


学校概要
所在地:東京都渋谷区笹塚3-19-9
アクセス:京王線「笹塚駅」徒歩5分
電話番号:03-3376-1481