2026年度の中学受験を目指すご家庭は、そろそろ第一志望校・併願校を決定する時期だろう。
リセマムでは昨年に引き続き「中高6年間一貫教育を考える会」と連携し、お勧めの私立中学校をピックアップ。同会が発行する『とっておきの私立中学校』の中から抜粋して、注目校の魅力をお伝えしていく。
本記事でご紹介するのは、跡見学園中学校。東京都文京区にある中高一貫の女子校だ。学校長・松井 真佐美先生からのメッセージの他、特色のある学び方、「自分で考え、選び、動く」力を得るための教育について等を紹介する。
「凛としてしなやかに」
画家・書家であり、明治女性の先駆的な存在だった跡見花蹊(かけい)が、日本人初の私立女子校として創立したのが跡見学園です。時代のニーズに合わせて、社会に求められる学力、そして本物に触れる学びで美意識はもとより、幅広い視野や体験に基づく思考を育んでいきます。
私が跡見学園の生徒たちに日頃から伝えている言葉に、「凛としてしなやかに」というものがあります。ただ強いだけではときに折れてしまうこともあるものです。そうではなく、困難にぶつかってもそこから元に戻れるしなやかさと、自分の芯を持った人間に成長してほしいと考えています。それが、将来、「自分の人生を自分で選ぶ力」になっていくからです。
あらゆることにAIを活用する時代だからこそ、これまで以上に人間には「自分で考え、選び、動く」力が求められています。そのためには、自らの問いを自分で見つけて、自分自身のストーリーを描ける人になってもらいたいと考えています。我々教員はそんな生徒の成長のきっかけを共に探るべく、丁寧な対話を大切にしながらしっかりと伴走していきます。

どういう学び方をするの?
「本物に触れる」教育を重視し、あらゆる教科で探究・体験型学習を取り入れています。同校の考える本物とは「良質・実物・現場」を意味します。
感受性がもっとも強い中高6年間にたくさんの本物と出会うことで、豊かな感性を育み、自分の芯となる価値観を形成してもらいたいと考えています。それを実現するために、「探究」をキーワードに各教科の学びや宿泊行事などの学びを体系化。暗記型ではなく自分で問いをもち、考え、表現する力を育てていきます。
たとえば、あらゆる教科で実験や実習を盛んに行っており、理科では週1回実験を実施。また、文系・理系にかかわらず、これからの時代に必須となるデータサイエンスは、東京理科大学の教員が中2・3向けに授業を担当。身近な定期券のICカードをテーマにデータ活用の具体例を取り上げるなどします。
教科横断型の授業もあります。数学と美術のコラボ授業では、美しく見える「黄金比」について理論と実践を学習。生徒は黄金比のスケールを自作し、校内のさまざまな場所で黄金比を調査しながら、知識と体験をリンクさせていきます。学びにおいて大切なのは、「どこがわからないかをはっきりさせること」。これは、社会に出てからも必要な「課題を見つける力」に通じるものです。


サイエンス探究教室
探究型創造授業の一環として行われているのが「サイエンス探究教室」です。
中1では跡見学園北軽井沢研修所に宿泊し、敷地内の演習林で植物の成長や変遷をじっくりと観察。体験を通して、地理的・生物学的なものの見方を習得していきます。
中2では、奥日光・尾瀬で宿泊行事を実施。雄大な自然に親しみながら、中1で身に付けた観察の視点や仮説を立てる姿勢をさらに伸ばしていきます。
これらを通じて、自分なりに課題を設定し、調査を行い、自らの考えを発信する力を養います。

セルフプロデュース旅行
高2で行う4泊5日の研修旅行を2024年に大幅にリニューアル。生徒が「自分で自分をプロデュースする力」を育てることを目的として、与えられた旅ではなく、自発的な学びと行動力を促す内容になりました。訪問先は「奈良・大阪・兵庫」の3つから自分たちでセレクト。訪問テーマはもちろん、交通手段なども自ら考えます。
最終的に学年全員が京都に集合して旅を終えるプログラムになっています。この研修旅行を通じて自分への理解を深め、「なりたい自分」に近づくことができます。


学校概要
所在地:東京都文京区大塚1-5-9
アクセス:東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷駅」徒歩2分、または東京メトロ有楽町線「護国寺駅」徒歩8分
電話番号:03-3941-8167