AIキャリアは2025年11月13日、2027年卒業予定の就職活動生を対象に、AIを搭載した次世代型の自動適職マッチングアプリ「AIキャリア」の提供を開始した。AIによる適性診断や求人マッチングなどを通じ、自己分析不足による求人のミスマッチや早期離職といった社会課題の解決を目指す。
近年の就職活動では、SNS上の企業ランキングなどに依存した「他者起点の企業選び」が増加傾向にあるという。その結果、自己分析不足による求人のミスマッチや早期離職、さらには「就活うつ」といった問題が年々深刻化している。同社は、これまで就活生と企業の間で十分に活用されてこなかった「コンピテンシーデータ」に着目。AI技術を駆使することで、より柔軟で最適なマッチングの実現を目指している。
「AIキャリア」は、適性診断から適職提案、求人マッチング、AI面接、内定までを一気通貫で最適化するアプリケーション。就活生がアプリをダウンロードし、59問の質問で構成されるAI適性検査に回答すると、自身の適性診断結果がわかる。診断結果は、社会人基礎力や得意・不得意、コンピテンシーキーワードなどがテキストやグラフ、レーダーチャートで可視化される。
診断結果にもとづき、AIが予測した適性職種の候補や、自分では言語化が難しい適性社風が自動的に表示されるため、これまで気付かなかった新たな可能性を発見できるという。
求人マッチング機能では、診断結果のデータをもとにマッチ度の高い求人を自動的に表示する。就活生は興味のある求人にアプリからワンタップで応募が可能。企業側も、求める人物像に合致したコンピテンシーを設定することで、応募段階から候補者を自動的に絞り込める。
また、AI面接機能も搭載しており、就活生は求人応募後に面接練習を何度でも行える。AI面接官からの質問に答えることで、実践に近い形式で練習でき、終了後には得点や良かった点、改善点などのフィードバックも受けられる。企業側は、このAI面接の質問内容を自社向けにカスタマイズすることもできる。
同アプリの利用により、就活生は自己分析を簡便化できるメリットがある。適職を探すうえで不可欠な強みや弱み、志向性といったコンピテンシーデータが診断により瞬時に言語化されるため、自己PRのポイントを整理しやすくなる。
また、SNSの人気などに左右される「他者起点」ではなく、診断結果にもとづく「自分起点」の企業選びが可能になることで、ミスマッチや早期離職のリスク低減につながるとしている。これにより、平均5か月かかるとされる就職活動を最短1か月に短縮することも可能で、企業研究などにより多くの時間を割けるようになるという。
一方、採用担当者にとっては、スカウトを送らずともマッチ度の高い学生からの応募を集められるため、採用コストを最大50%削減できる可能性があるという。また、入口から志望度の高い学生が集まることで、選考離脱率や早期離職率の低下も期待できる。
開発のきっかけは、AIキャリアCEOの加藤清紀氏が10年以上にわたり、1,000人以上の就活生と300社以上の採用担当者と関わる中で感じた違和感にあったという。双方が有効なデータを持たず、感性だけでマッチングを決定し続ける現状に課題を感じ、解決策として「コンピテンシーデータ」に着目。このデータをAI技術で活用することで、新たなキャリアマッチングプラットフォームを実現した。
「AIキャリア」は、コンピテンシーデータにもとづくマッチングを軸に、就活生が自身の診断結果データを保有し、キャリア形成に生かせる点が特徴。企業側も採用後、データを配属や評価に活用できる。これにより、内発的動機を中心とした就職活動を促し、学生のキャリアオーナーシップ醸成を支援するとしている。

