日ごとに増す医師への憧れ…1期生が語る、星野高校 医専コースでの「学びの楽しさ」

 2026年4月に開設された星野高校「医専コース」。1期生として学ぶ3名の生徒に、入学から約2か月を経ての変化や手応え、医師を目指す思いについて聞いた。

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星野高校医専コースの1期生の皆さん
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 埼玉県川越市の星野高等学校(以下、星野高校)は、1897年(明治30年)に創立され、約130年の歴史を誇る伝統私立校だ。学園内には小学校・中学校もあり、「全人教育」を掲げる同校に、2026年4月「医専コース」が誕生した。

 星野高校 医専コースでは、医学部医学科への現役合格を目指し、駿台予備学校医学部専門校舎や埼玉医科大学と連携協定を締結。高校2年生までに大学受験に必要な学習範囲を終え、3年生の1年間を入試演習にあてるという設計で、高校3年間で受験に必要なすべてをカバーする独自のカリキュラムが注目を集めている。

 授業開始から約2か月が経った5月下旬。1期生はどのような毎日を送り、どんな変化を感じているのだろうか。医専コースの1期生3名に話を聞いた。

Hさん:東京都在住。都内の国立中高一貫校出身
Aくん:埼玉県在住。県東部の公立中学校出身
Oさん:埼玉県在住。県西部の公立中学校出身


インタビュー取材に応じてくれた星野高校 医専コース1期生の皆さん

「自分でも医師になれるかもしれない」3人それぞれのきっかけ

--まず、医師を目指そうとしたきっかけと時期を教えてください。

Hさん:祖父が開業医をしていて、その姿を見て「格好良いな」と憧れたのがきっかけです。小学5年生のころでした。

Aくん:中学1年生からです。両親が看護師をしていることもあり、自分も医療従事者になりたいと思うようになりました。

Oさん:中学3年生の6月です。学校に掲示されていた星野高校のポスターを見て説明会に参加したのがきっかけで、医師という道を考えるようになりました。もともとチームワークが好きだったこともあって、チーム医療に興味をもちました。

「祖父の姿に憧れて、医師を目指しました」と話すHさん

--星野高校の医専コースはいつごろ知りましたか。

Hさん:祖父の家を訪ねたときに埼玉医科大学の存在を知り、医学部に進学するための情報を調べるうちに、埼玉医科大学と連携している星野高校の医専コースに出会いました。中学3年生の8月ごろ、「ここで頑張ってみよう」と決めました。

Aくん:塾の先生から紹介されたのがきっかけです。僕もHさんと同じ時期、中学3年生の8月ごろでした。

Oさん:ポスターを見て、説明会に参加したのが最初です。そこで詳しい話を聞いて、一気に興味が湧きました。

--医専コースを志望した決め手について教えてください。

Aくん:埼玉医科大学や駿台医学部専門校と連携した、ここでしか受けられないカリキュラムに魅力を感じたことです。

Oさん:高校3年生の1年間を演習に充てるという思い切った学習計画が、いちばんの決め手になりました。それと、同じ志をもった仲間が集まるという環境にも惹かれました。

Hさん:3年間で医学部合格を目指す」というコースの方針を聞いて、「私でも合格できるかもしれない」と希望がもてたことです。中高一貫校に通っていたので、周りには外部の高校を受験する友達はほとんどおらず、不安もありましたが、そこから精一杯頑張りました。

カリキュラムに魅力を感じて星野高校 医専コースを目指したというAくん

「先生方のサポートが手厚く、不安がほとんどない」

--入学して約2か月が経ちました。高校生活全般についての感想を聞かせてください

Oさん:私は、部活は吹奏楽部に入っているのですが、行事にも部活にも制限がなく、全力で楽しめる環境がすごく良いなと思っています。先生方が医療関連の最新の情報を授業の中で話してくださるのも新鮮です。先生方や学校のサポートが手厚いので、不安を感じることがほとんどありません。

Aくん:先日、日本大学の医学部に見学に行ったことが印象に残っています。施設見学だけでなく、現役の先生から医師を目指した経緯ややりがいについて伺ったり、医学部の学生の皆さんからはどのように勉強してきたかという体験談も聞くことができました。他のコースでは体験できないような医師になるための貴重な経験ができて、今後のプログラムにも楽しみです。

日本大学 医学部訪問では、施設見学だけでなく、現役の先生や医学部生の先輩と話す機会も

Hさん:ダンス部に入って、医専コースの勉強と部活を両立する毎日です。不安があるとすれば、中学よりも授業の進度が速いので、自主学習に工夫が必要というところですね。クラスが少人数なので質問をしやすい環境なのは助かっています。

予習・授業・復習のサイクルで「勉強が好きになった」

--医専コースの授業は50分×7限の日が週4日あり、他コースより授業数が多いと聞いています。カリキュラムについてはどう感じていますか。

Hさん:確かに進み方は少し速いのですが、自主学習の時間やミニテストが毎回あるので、わからないまま置いていかれることがないんです。英単語や数学の小テストで定着度も測れるので、自分がどこまでできているかがわかるのが良いですね。

Aくん:他のコースより授業数が多い分、しっかり進んでいるという実感があります。より深く、より定着できる内容をやってもらえるので、普段の授業だけでもちゃんと身に付いている感覚があります。また、無駄に感じる課題がなくて、全部自分の力になっている気がしています。

Oさん:英語のカリキュラムが特に良いです。文法や長文読解の授業はもちろんなのですが、医療に関連する英文を読む機会もあるんです。日々、力が付いてきているのを感じています。

「部活や行事にも全力で取り組み楽しめるところも魅力のひとつ」とOさん

--ちなみに家庭での学習時間はどのくらいですか?

Oさん:部活の練習を終えて帰宅すると夜の8時ごろ。通学にも1時間以上かかるので、夜の学習時間は2時間程度です。それに加えて毎朝時間を確保して、トータル3時間くらいですね。

Hさん:私は夕食後に2~3時間を勉強に充てています。

Aくん:僕もHさんと同じくらいですね。

--医専コースであっても文武両道を目指す、全人教育をモットーとする「星野学園」らしい学校生活ですね。この2か月で、自分の中で変わったなと感じるところはありますか。

Aくん:入学前は漠然と「医者になりたい」と思ってたんです。でもこのコースに入って医学について深く学ぶようになり、より身近に感じられるようになったことで、自分の中に「これをこうしていこう」という具体的な道筋が見えてきました

入学して2か月だが、確かな手ごたえを感じていることが言葉の端々からにじみ出ていた

Hさん:中学のころは、正直あまり勉強が好きではなかったんです。授業についていけないまま終わることも多くて。でも医専コースに入学して、予習をして授業を受けて、わからなかったところは復習するというルーティンができました。授業もわかりやすくて、勉強が好きになった気がします。

Oさん:部活と勉強の両立が最初は本当に大変で、4月は「このまま3年間やっていけるのかな」と不安でした。でも周りの仲間も同じように頑張っているのを見て、お互いに高めあえている感覚があります。体力も付いてきました。

--クラスの雰囲気はどうですか。

Aくん:クラスの人数が少ないからかもしれないですが、男女関係なく皆仲良くできている感覚がとてもあります。

Oさん:同じ目標をもった仲間が周りにいるのはやはり心強いと感じます。

Hさん:皆「医師になる」という同じ目標に向かっているので、テスト前に教えあったり、わからないところを気軽に聞きあえたりする雰囲気があるのが良いですね。

--あなたの「推し授業」を教えてください。

Hさん:「探究」の授業が好きです。週に1回、医療に関する時事問題を扱った新聞記事を読んで、自分の考えをまとめます。この前は、外科手術の執刀数における男女格差に関する記事をテーマにクラスで議論しました。今起きているたくさんの問題を知って、自分で考えることがとても楽しいです。

時事探究で扱う医療関連の最新ニュース

Aくん:生物がいちばん好きです。医師になるための学びに直接つながっている実感があります。担当の先生が授業のたびに体のことや医学に関する豆知識を話してくれるので、毎回楽しみです。

Oさん:私の「推し授業」は、英語です。文法や長文読解だけでなく、医療に関する内容に英語で触れられる取組みがいろいろあるんです。テストもこまめにあるので、わからないまま放置することがなく、安心できます。

医学部の見学で描き始めた「将来の自分」

--現段階で目指す医師像はありますか。

Aくん:まだ具体的な診療科は決まっていません。国公立大学の医学部に進学して、いろいろな臨床実習を経験しながら、自分が本当に興味をもてる科を見つけていきたいと思っています。

Hさん:私は心療内科に関心があります。最近は心の内を話せない若い世代の人が多いと聞くので、そういう人たちに寄り添えるような医師になりたいです。

Oさん:もともと外科に興味がありましたが、先日、日本大学の医学部付属病院を見学し、救命救急センターの先生のお話を聞いて感銘を受けました。その先生はもともと小児科を担当されていた方なのですが、今は救命救急の最前線に立っていらっしゃって。カルテも、過去にどういう症状が出たかという情報も一切ない状態で、一刻を争う現場に立つ。本当に大変だと思うけれど、その中で人のために全力を尽くすということが、すごく素敵だと感じました。

医療現場の見学を通して大変さを知ったうえで「憧れ」を語る姿に、強い意志を感じた

「『自分なんて…』と思わないで」受験生へのメッセージ

--最後に、これから高校受験を迎える中学3年生に向けてメッセージをお願いします。

Hさん:「自分なんかが医者になれるわけない」と思ってほしくないです。私も中学3年生のはじめのころは自信がなく、ついそう思ってしまっていたけれど、医専コースを知って、「自分でも頑張れるかも」と思えるようになりました。今の可能性を決めつけず、夢をあきらめないでほしいです。

Aくん:受験勉強で夏はいちばん大変な時期だと思いますが、医専コースにはどこよりも手厚いサポートがあります。自信をもって来てください。

Oさん:去年のこの時期まで、医師にまったく興味がありませんでした。何かがきっかけで変わることもある。ぜひ気軽に説明会に足を運んでみてください。

「今の自信のなさで夢をあきらめないでほしい」というHさんの言葉は、すべての受験生に向けてのエールだ

--ありがとうございました。

全人教育の根付く環境で全力で夢に向かう3年間

 医専コースではこの夏休みに、約3週間の医専特別夏期講習「医専特講」を予定しているという。数学・理科・英語・国語・情報の講習を中心に、駿台医学部専門校の講師による授業や解剖実習、卒業生の医師によるワークショップ、現役医学部生から勉強法を学ぶイベントなど、多彩なプログラムが企画されている。

 医専コースチーフであり1期生担任の長束亮太先生は「ずっと詰め込むと飽きてしまうから」と笑いながら、カリキュラムの工夫について話してくれた。勉強漬けにするのではなく、講習と特別プログラムの合間に自学自習の時間や部活動に充てられる余白もしっかり確保し、学びのサイクルを自分で回せるようになることが、医専コース1年生の今夏の目標だという。

 取材で印象的だったのは、3人の言葉のひとつひとつに、入学前にはなかった「手応え」と「具体性」が宿っていたことだ。予習・授業・復習のルーティンを自分のものにし、部活にも学びにも全力で向き合いながら、3年後の医学部合格、そしてその先の医師としての人生を見据え始めている。

 また生徒たちからは、手厚いサポートや少人数ならではの学びやすさを評価する声が聞かれた。目の前の受験勉強だけではなく、「医師になった先」を具体的にイメージできる機会が1年生のうちから用意されていることは、3年間の学びを支えるモチベーションになるに違いない。そして、これらの学びには、星野学園の教育理念「全人教育」の考えが根付いていると感じられた。

 開設初年度の医専コースは、生徒たちにとって確かな居場所になりつつある。「自分なんかが、と思わないで」というHさんの言葉は、わずか2か月で確かな一歩を踏み出した1期生によるものだからこそ、これから進路を考える中学生の胸に届くメッセージとなるだろう。


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この日初めて袖を通した医専コースオリジナルの白衣。胸元の刺繍のフォントやカラーはクラスの皆で話し合って決めた

《田中歌耶子》

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