なぜ受験生が集まるのか? 広尾学園、5年連続志願者増の理由に迫る

 独自の校風と常に改善を試みる姿勢で志願者を伸ばし続けている、東京の中高一貫校「広尾学園」。2012年以降、5年連続で受験者数が増加している理由は何なのか。広尾学園の冨田宗良先生と金子暁先生に話を聞いた。

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広尾学園2016年の中学入試を受ける受験生
広尾学園2016年の中学入試を受ける受験生 全 6 枚 拡大写真
◆中高を変えることで大学も変わる

--高大接続システム改革の波を受け、中学・高校でも受験への英語導入などが増えている傾向がありますが、広尾学園として何か意識されているところ、また入試問題がそれによって変化したということはありますか。

冨田先生:まだ高大接続システム改革の全貌は明らかではないですが、その主旨は、元々インターナショナルコースがやってきたことそのものだと思います。考えること、ディスカッションすること、何かをみんなで作り出していくことなどが中心で、本科や医サイコースでもそのやり方を徐々に広げていっています。

--卒業生から「広尾学園で身についたプレゼンやディスカッションの力が役立っている」ということをお聞きしました。このような部分も、志望者増加に結び付いているとお考えですか。

金子先生:広尾学園だったら、教育に変化があっても、すばやく対応してくれるんじゃないかなと期待されている部分はあるかと思います。一方で、教育にも流行がありますが、そういった流れからは一歩距離を置くようにしています。文部科学省の方針だから動くのではなく、広尾学園では中高でどんどん教育を変えていくことで、大学が変わっていくと思って動いています。

冨田先生:本科、医サイ、インターのクラスでは、高校に上がる段階で希望のコースを出すことが可能です。たとえばインターのアドバンストコースにいたけれど、医サイや本科に移ることもできます。ただし、英語だけは元のインタークラスで受けられる“取り出し授業”ということも行っています。ひとつの学校の中に2つの学校があり、行き来ができるような感覚です。

 今年度は昨年に比べ、英語による入試を導入した中学校がかなり増加しました。そのなかでも広尾学園は受験者数が多かったと思います。帰国子女をはじめ、英語教育を意識されている方々に、それだけ英語教育に力を入れている学校だと認識していただいているのではと思っております。

◆世界に通用する学校へ

--今後の広尾学園が目指す方向性などをお話いただけますでしょうか。

金子先生:広尾学園では学校の見学を受け付けているので、全国の学校から見学にいらっしゃいます。昨年は進学校の見学が大変多いのが特徴でした。特に後半からは海外の見学が増え、大学の教授や、OECD関連の方、大臣や大使などがいらっしゃいました。数年前までは首都圏で伸びた学校として知られていたのが、日本全国に広がり、今後は海外で注目される学校にまでもっていきたいと思います。

 これまでの日本では「文武両道」といわれてきましたが、両方とも自分の利益のためのものなのです。そこに社会貢献などはほとんどなかった。しかし、どれだけ社会に貢献できたか、国際レベルでどういった活躍をしたかが海外の大学では問われます。今後はこの部分が絶対必要になってくる。広尾学園ではその用意や後押しをしますし、何よりも生徒たち自身が探して見つけてきます。

 去年、私が説明会で話したテーマは「生徒が日本の教育を越えていく」でした。学校としては、日本の教育の良さは土台としてもちながら、それを越えていくのが広尾学園としてのミッションだと思っています。

--ありがとうございました。
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《相川いずみ》

教育ライター/編集者 相川いずみ

「週刊アスキー」編集部を経て、現在は教育ライターとして、ICT活用、プログラミング、中学受験、育児等をテーマに全国の教育現場で取材・執筆を行う。渋谷区で子ども向けプログラミング教室を主宰するほか、区立中学校でファシリテーターを務める。Google 認定教育者 レベル2(2021年~)。著書に『“toio”であそぶ!まなぶ!ロボットプログラミング』がある。

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