「風しん」流行に注意、千葉など関東地方で患者増…厚労省

 風しんの流行が全国に拡大する恐れがあるとして、厚生労働省は2018年8月14日、都道府県などに注意喚起する通知を出した。現在、千葉県など関東地方で風しん患者が増えていることから、特に妊婦への感染を防止するため、予防接種の検討などを呼び掛けている。

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風しん累積報告数の推移 2012~2018年(第1~31週)
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 風しんの流行が全国に拡大する恐れがあるとして、厚生労働省は2018年8月14日、都道府県などに注意喚起する通知を出した。現在、千葉県など関東地方で風しん患者が増えていることから、特に妊婦への感染を防止するため、予防接種の検討などを呼び掛けている。

 風しん患者届出数は現在、例年と比較して、関東地方で大幅に増加している。第30週~第31週(2018年7月23日~8月5日)の風しん届出は38人で、30~50代の男性が多くを占めている。第1週~第31週の風しん届出は96人。都道府県別では、千葉県の26人がもっとも多く、東京都19人、埼玉県8人と続いている。

 厚生労働省では、夏休みのこの時期は多くの人の往来が見込まれるため、今後、全国的に感染が拡大する可能性があると危惧。都道府県の衛生主管部(局)長などに通知を出して、予防接種や風しんを意識した診療など、対策に協力するよう求めている。

 風しんとは、風しんウイルスによって引き起こされる急性の発しん性感染症。飛沫感染によって人から人へ感染する。症状は、子どもは比較的軽いが、大人は高熱や発しん、関節痛など、小児より重症化することが多い。予防にもっとも有効なのは予防接種。風しんワクチンを接種することで、95%以上の人が風しんウイルスに対する免疫が獲得できるといわれている。

 風しんに対する免疫が不十分な妊娠20週ごろまでの妊婦が風しんウイルスに感染すると、出生児が先天性風しん症候群を発症する可能性がある。厚生労働省によると、妊娠中の女性は予防接種が受けられないため、特に流行地域では抗体を持たないまたは低い抗体価の妊婦は、可能な限り人混みを避け、不要不急の外出を控えるほか、同居家族など周りの人も風しんを発症しないよう予防に努めてほしいという。

 通知では、特に妊婦を守る観点から、発熱や発しんがある患者を診察した際、最近の海外渡航歴や国内旅行歴を聴取し、風しん罹患歴と予防接種歴を確認するなど、風しんを意識した診療を行うよう、医療関係者への周知を要請。風しん抗体価の低い人が2割程度存在しているとされる30~50代男性妊婦の家族今後妊娠する可能性がある女性らに対し、予防接種を検討してもらうよう周知を図ることも求めている。

《奥山直美》

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