4都県で「風しん」流行拡大、患者は184人に増加(8/13-19)

 国立感染症研究所は2018年8月28日、第33週(8月13日~19日)までの風しん患者累積報告数が184人になったと発表した。第33週は43人と、前週よりさらに3人増加。地域別では、千葉県62人、東京都47人が多く、埼玉県と神奈川県を合わせた首都圏4都県が全体の7割を占めている。

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風しん累積報告数の推移 2014~2018年(第1~33週)
風しん累積報告数の推移 2014~2018年(第1~33週) 全 9 枚 拡大写真
 国立感染症研究所は2018年8月28日、第33週(8月13日~19日)までの風しん患者累積報告数が184人になったと発表した。第33週は43人と、前週よりさらに3人増加。地域別では、千葉県62人、東京都47人が多く、埼玉県と神奈川県を合わせた首都圏4都県が全体の7割を占めている。

 首都圏における風しん患者の急増を受け、国立感染症研究所では8月28日、緊急情報を発表した。緊急情報を出すのは、8月21日に続き2回目。8月14日には、厚生労働省も注意喚起する文書を出している

 国立感染症研究所によると、第1週~第33週(2018年1月1日~8月19日)の風しん患者の累積報告数は184人。第20週(5月14日~20日)の11人を除き、第29週(7月16日~22日)までは1週間あたり0~7人だったが、第30週(7月23日~29日)19人、第31週(7月30日~8月5日)22人、第32週(8月6日~12日)40人と増加。第33週は、さらに43人に増えている。

 地域別では、「千葉県」の62人がもっとも多く、ついで「東京都」47人が多い。「埼玉県」11人、「神奈川県」9人を合わせると、全体の7割が首都圏の4都県からの報告となっている。人口100万人あたりの風しん報告数では、千葉県が10.0人と突出している。

 国外での感染が推定される症例は10人(5%)と少なく、国立感染症研究所では「すでに首都圏を中心に国内流行が発生し始めている可能性が高いと考えられる」と指摘している。

 報告患者の93%にあたる172人が成人で、男性は女性の約3.5倍多い。特に30~40代の男性が多い傾向にある。予防接種歴は、「不明」69%、「なし」17%。風しん患者の中心は、過去にワクチンを受けておらず、風しんに感染したことがない、抗体を保有していない集団である。

 風しんはワクチンによって予防が可能な疾患だという。しかし、予防接種法に基づく感染症流行予測事業の2017年度調査によると、成人男性の抗体保有率は30代後半84%、40代77~82%、50代76~88%と低い実態にある。

 妊娠20週ごろまでの女性が風しんウイルスに感染すると、胎児にも風しんウイルスが感染して、眼、耳、心臓に障害を持つ先天性風しん症候群の子どもが生まれる可能性がある。風しんが流行した2013年には、1万4,344人の患者が報告され、45人の先天性風しん症候群が確認されている。

 国立感染症研究所によると、妊娠中は風しん含有ワクチンの接種が受けられず、受けたあとは2か月間妊娠を避ける必要があることから、女性は妊娠前に2回の風しん含有ワクチンを受けておくことが望ましい。また、妊婦の周囲の人に対するワクチン接種も重要だとしている。

《奥山直美》

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