SSHの今後の方向性…高大接続枠を新設、減額や指定解除も

 文部科学省は平成30年9月18日、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業の今後の方向性について報告書を取りまとめた。基礎枠と重点枠を見直し、重点枠では新たな区分として「高大接続枠」を設定。取組みが不十分な指定校への減額や指定解除にも言及している。

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 文部科学省は平成30年9月18日、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業の今後の方向性について報告書を取りまとめた。基礎枠と重点枠を見直し、重点枠では新たな区分として「高大接続枠」を設定。取組みが不十分な指定校への減額や指定解除にも言及している。

 文部科学省は、先進的な理数系教育を実施する高校などを「スーパーサイエンススクール(SSH)」に指定して支援するSSH支援事業に取り組んでいる。事業開始から平成30年度で17年目となり、平成34年度以降に新たな探究的科目「理数探究」を含む新学習指導要領が実施されるなど、1つの節目を迎えることから、「SSH支援事業の今後の方向性等に関する有識者会議」を設置し、検討を続けている。

 報告書では、平成29年度の行政改革推進会議による秋の年次公開検証(秋レビュー)で指摘を受けた事項をもとに今後の方向性を整理。SSH事業の基礎枠と重点枠については、社会環境の変化や学びの在り方の変容を踏まえ、見直しの必要性を指摘した。

 このうち、重点枠の区分については、現行の「中核拠点」「海外連携」「社会との共創」「その他」を整理。新たな区分として、「高大接続枠」「広域連携枠」「海外連携枠」「地球規模の社会共創枠」「その他」へと再構成した。新たに設ける「高大接続枠」では、高大接続による一貫した理数系トップレベル人材育成プロセスの開発・実証を支援する。

 指定の在り方では、基礎枠の指定期間が5年間となっているため、年度ごとに採択校数が大きく異なる現状にあることから、「毎年度の採択校数を可能な限り平準化していくことが重要」と明記。支援額については、「主対象生徒数など外形的基準で一律に判断することは適切ではない」と指摘した。

 さらに事業の実施状況を踏まえて必要な経費を支援するという観点から、取組みが不十分な指定校に対する減額などについても言及。「中間評価の結果に基づき、事業目的に照らして十分な取組がなされていないと判断されるSSH指定校については、必要に応じて経費の減額や指定解除といった措置を講じるべき」とした。

 現在、もっとも指定期間が長い高校は4期目を迎えており、2020年度には5期目の指定を受ける高校が出ると予想。5期目以降の指定校については、4期目までよりさらに充実、進化した取組みを要求。「申請時の実施計画において、4期目までの経験を踏まえた上で、それぞれの学校の特色を生かした、より進化したSSHの形を明確に提示するとともに、これまでの取組の蓄積を広く発信することが求められる」と記した。

 また、今後も従来どおり、国公私立の区別、普通高校と専門高校の区別なく提案を受け付け、内容を適切に評価し、優れたものであればSSHに指定すべきとした。

 このほか、事業運営の検証の必要性についても盛り込み、文部科学省、科学技術振興機構(JST)、管理機関、SSH指定校それぞれが果たすべき役割や検証のポイントについても整理している。

《奥山直美》

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