【自由研究】ロケット打ち上げのひみつ

 宇宙には、わたしたちの生命のなぞを解き明かすヒントがあるとされている。誠文堂新光社の「子供の科学★ミライサイエンス 宇宙探査ってどこまで進んでいる?」より、夏休みの自由研究にもおすすめの、宇宙への興味の一歩を引き出す“ひみつ”情報をご紹介する。

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【自由研究】ロケット打ち上げのひみつ
【自由研究】ロケット打ち上げのひみつ 全 13 枚 拡大写真
 未知なる星へと飛び立つ姿、そして着陸の瞬間…ロケットの打ち上げのニュースは親子でドキドキするのではないだろうか。ロケットがある場所には共通点がある?世界にある発射場いくつ言える?夏休みの自由研究に、世界の宇宙探査への取組みを調べ、興味を広げてみてはいかがだろうか。

 誠文堂新光社の「子供の科学★ミライサイエンス 宇宙探査ってどこまで進んでいる?」より、宇宙への興味の一歩を引き出す“ひみつ”情報をご紹介する。

ロケットは「寒がり」だった? ロケットの発射場が南にある理由



 ロケットを打ち上げる場所を「射場(しゃじょう、または発射場(はっしゃじょう))」という。日本のロケット打ち上げ射場は、鹿児島県の種子島と内之浦の2か所だ。種子島からは液体ロケット(現在はH-2A(エイチツーエー)、H-2B(エイチツービー))が、内之浦からは固体ロケット(現在はイプロシン)が打ち上げられる。
 鹿児島県は日本の南のほうにある。実は世界各国も、自国内の南寄りの(正確には赤道に近い)場所に射場をつくっていることが多い。その理由は、地球の自転の勢いをロケットの速度に上乗せするためだ。

 地球は南北を軸にして西から東に自転している。その速度は赤道付近で秒速約470mにもなる。そんな猛スピードに人間が気づかないのは、自転速度が一定のためだ。飛行機が上空で一定の速さで飛んでいるとき、乗客はスピードを感じないのと同じだよ。

 ロケットを加速するには、大量の燃料が必要だ。でもロケットを東向きに打ち上げれば、地球の自転速度を上乗せできるので、燃料を少なくできる。地球の自転速度は赤道に近い場所ほど速いので、射場は赤道に近い場所につくるんだ。

地球の自転で勢いをつける



地球の自転速度



日本のロケット射場




 内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられるM-Vロケット5号機。小惑星探査機「はやぶさ」を打ち上げた(2003年5月9日)。



種子島宇宙センターは、青い海に白い砂浜、茶色い岩の崖という景観から「世界一美しい射場」といわれる。


画像:ともにJAXA


世界各地から続々発射! 世界のロケット射場大公開




1. 内之浦宇宙空間観測所(日本)
2. 種子島宇宙センター(日本)
3. ケネディ宇宙センター(アメリカ)
4. ケープカナベラル空軍基地(アメリカ)
5. ヴァンデンバーグ空軍基地(アメリカ)(アメリカ西部宇宙・ミサイルセンター)
6. ギアナ宇宙センター(フランス領ギアナ)
7. アンドーヤロケット発射場(ノルウェー)
8. バイコヌール宇宙基地(カザフスタン)
9. ボストーチヌイ宇宙基地(ロシア)
10. 太源(たいげん)衛星発射センター(中国) 
11. 酒泉(しゅせん)衛星発射センター 
12. 西昌(せいしょう)衛星発射センター(中国) 
13. 文昌(ぶんしょう)衛星発射センター(中国) 
14. サティシュ・ダワン宇宙センター(インド) 
15. 羅老(なろ)宇宙センター(韓国) 


バイコヌール基地(8)


 カザフスタン共和国にあり、旧ソビエト連邦時代から、ロシアの有人宇宙船のすべてがここから打ち上げられている。写真は打ち上げられるソユーズロケット。


ケネディ宇宙センター(3)


 アメリカ・フロリダ州にある発射場。人類初の月面着陸を行った「アポロ11号」を乗せたサターンVロケットはここから打ち上げられた。スペースシャトルの打ち上げもここから。フロリダ州の一大観光スポットとしても人気を博している。隣接するケープカナベラル空軍基地(おもに無人ロケットの打ち上げ担当)とともに、アメリカ東部宇宙・ミサイルセンターを成す。


西昌衛星発射センター(12)


 中国・四川省西昌市にある大型ロケット発射場。写真は西昌衛星発射センターから打ち上げられた、「嫦娥(じょうが)4号」を載せたロケット「長征(ちょうせい)3号B」。


ギアナ宇宙センター(6)


 フランス領ギアナ(南アメリカ北東部)にあるフランス国立宇宙センターのロケット発射基地。ヨーロッパのアリアンロケットがおもに打ち上げられる。日本の水星探査機「みお」もここから打ち上げられた。



<協力:誠文堂新光社>

宇宙探査ってどこまで進んでいる?: 新型ロケット、月面基地建設、火星移住計画まで (子供の科学★ミライサイエンス)

発行: 誠文堂新光社/著:寺薗 淳也
 著者プロフィール:会津大学准教授。名古屋大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科(博士課程)中退。宇宙開発事業団、JAXA広報部等を経て現職。月探査機「かぐや」計画の立ち上げ、小惑星探査機「はやぶさ」の広報に従事。老舗ポータルサイト「月探査情報ステーション」主宰。著書に『夜ふかしするほど面白い「月の話」』(PHP文庫)、『惑星探査入門』(朝日選書)他多数。

《編集部》

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