ポートフォリオ利用実態、高校生の7割「利用せず」旺文社調べ

 2021年度から実施される大学入試改革にあわせ主体性の評価ツールとして活用が期待される「ポートフォリオ」について、7割の高校生が利用しておらず、3割の利用者についても約半数は無目的で利用している実態が明らかになった。

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ポートフォリオに記録をつけているか
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 2021年度から実施される大学入試改革にあわせ主体性の評価ツールとして活用が期待される「ポートフォリオ」について、旺文社教育情報センターが高校生の利用実態を調査。結果、7割の高校生が利用しておらず、3割の利用者についても約半数は無目的で利用している実態が明らかになった。

 「ポートフォリオ」は、生徒自身が能動的に学習・活動を記録するツール。「学習や活動の振り返りをすることで、主体的な学びを促す」という本質的な意義を持つ。学習指導要領の改訂に伴い行われる大学入試改革においても、文部科学省が大学のすべての入試において学力の3要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性」を多面的・総合的に評価することを目指すとしたことから、大学入試での評価方法が難しいとされる「主体性の評価」を行うツールとしてポートフォリオが注目されている。

 そこで旺文社教育情報センターは、Webサイト「大学受験パスナビ」にて高校生および浪人生を対象にポートフォリオの利用実態調査を実施。716名の回答を得た。調査期間は2019年7月16日~8月26日。

 ポートフォリオに記録をつけているかとの問いでは、「ポートフォリオは知っているが記録をつけていない」がもっとも多く35%。ついで「ポートフォリオを知らない」34%となり、7割はポートフォリオを利用していない実態が明らかになった。利用率の低さもさることながら、そもそもポートフォリオの存在すら知らないという認知度の低さも垣間見えた。

 前問で「ポートフォリオに記録をつけている」と回答した30%を対象に、ポートフォリオに記録をつける目的を複数回答で聞いたところ、「大学入試で利用するため」がもっとも多く56%、ついで「目的は特になく、学校で記録をつけるのが必須のため」との回答が45%となった。ポートフォリオの本質的意義である「自分の学習や活動の振り返りのため」との回答は37%にとどまった。

 利用しているポートフォリオのタイプについては、「学校で指定されたWebのポートフォリオ」が圧倒的に多く70%、そのほか「学校で配布されたポートフォリオ用紙や手帳」20%、「自分で選んだWebのポートフォリオ」「自分で選んだポートフォリオ用の用紙や手帳」ともに5%という結果に。ポートフォリオの利用については9割が高校主導で行われている実態が明らかになった。また、文部科学省が2022年度から「調査書の電子化」の全面的導入を計画していることもあり、ポートフォリオについてもWeb上で記録・管理するeポートフォリオがメインとなる流れはますます加速することが予測される。

《畑山望》

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