休校中のデジタル学習3割超、集中力や理解力不安…ベネッセ調査

 ベネッセコーポレーションは2020年3月20日から5月8日までの期間「親子の生活における新型コロナウイルス影響調査」を実施、その結果を発表した。休校中のデジタルでの学習は各学齢で3割超えとなり、週が進むにつれ学習への不安が高まっている状況が見られた。

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親の不安/解決したいこと「学校の勉強に遅れてしまう」
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 ベネッセコーポレーションは2020年3月20日から5月8日までの期間、全国約2,800世帯に対して毎週「親子の生活における新型コロナウイルス影響調査」を実施、その結果を発表した。休校中のデジタルでの学習は各学齢で3割超えとなり、週が進むにつれ学習への不安が高まっている状況が見られた。

 「親子の生活における新型コロナウイルス影響調査」は、新型コロナウイルス感染症対策のための一斉臨時休校が始まった3月20日から毎週継続して調査したもの。調査対象は、全国47都道府県在住の幼稚園年中から高校3年生の子どもを持つ約2,800世帯。調査期間中、3月20日ごろ、3月28日ごろ、4月3日ごろ、4月10日ごろ、4月17日ごろ、4月24日ごろ、5月8日ごろの計7回にわたりインターネットにて実施した。

 休校以降、保護者の「学校の勉強に遅れてしまう」という不安は各学齢とも4月に入って急増した。小学生低学年では3月20日前後の23.3%から1か月で55.7%に、中学生では47.4%から64.2%まで増え、通常の学校が始まらないことで保護者の不安が増大しているようすがうかがえた。

 休校中のデジタルデバイスによる学習経験については、5月8日前後の時点で小学校低学年で32.0%、高学年で34.1%、中学生で40.0%、高校生で44.3%という結果に。いずれも3割以上がデジタルでの学習を経験していた。学校からデジタルデバイスで行う学習や宿題が課されたかとの問いでは、高校生が5月8日前後の時点で34.6%にのぼったものの、中学生以下は10%台にとどまった。

 オンライン授業サービスの利用率も学齢に応じて上昇。小学校低学年は21.6%、高学年は34.2%、中学生は42.2%、高校生は40.9%となった。また、未利用者の保護者においても、いずれも75%以上が今後利用してみたいとの意向を示した。

 保護者のオンライン授業への不安として、中高生は「子どもが理解できているかわからない」が4割を超え、小低学年は「集中力が続かない」が38.8%となった。デジタルデバイスやオンライン授業などについて「子どもが一方的にデジタルデバイスを見聞きしている」との印象が強く、「理解しながら見ているのか」「ただ見ているだけのような気がする」といった不安の声や、「わからないことをタブレットのみで解決できるのか」「リアルタイムで質問できないと勉強への熱量が減ってしまいそうで心配」といった意見が寄せられた。

 休校期間を通して見てみると、当初多かった「家でさせることがない」との不安は、週が進むにつれ減少。一方、「学習習慣を取り戻せるか」「学習のペースを作れない」「学校の勉強に遅れてしまう」との不安は各学齢とも徐々に高まり、5月8日前後の時点でピークに達している印象がある。また、約7割の家庭で新型コロナウイルスによる経済状況が「教育費への不安」につながっていると回答。学習面にさまざまな影響を及ぼしている状況が明らかになった。

 ベネッセコーポレーションでは、今回の調査を受け、「臨場感のある双方向型オンライン授業」や、質問ができるチャットなどの「コミュニケーション機能が付いた教材」を有効活用することがデジタルデバイス学習の不安解消のひとつになるのではと提言。Webサイトでは無償提供しているサービスや役立つ情報を紹介している。

《畑山望》

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