IBS、バイリンガル環境での音声認識に関する記事公開
ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所は、バイリンガル環境で赤ちゃんの音声認識は遅れないという先行研究に関する記事を公開した。バイリンガル児は言葉を話し始める前の段階から、2つの言語を区別して各言語の音声を身に付けるという。
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
0歳から6歳までをおもな対象とした早期英語教育、早期バイリンガル教育に関しては、さまざまな意見が交わされている。ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所(以下IBS)では、保護者や教育関係者から寄せられた「バイリンガル環境で子供を育てると、子供の言語発達が遅れる原因になるか」という疑問に対し、先行研究をもとに答える記事を公開した。
IBSによると、子供は生まれつき複数の言語を習得する能力がある、という考え方を支持する研究結果は数多く報告されている。たとえば、2011年に出版されたカナダの研究チームによる著書「Dual Language Development & Disorders(二言語発達と言語障害※IBS訳)」は、そのような見解を学術的根拠とともに明確に示しているという。
この文献に基づき、IBSのWebサイトでは「2つの言語にふれる環境は言語発達遅滞の原因にならない」という回答の根拠となる先行研究を5回に渡って紹介していく。初回は、バイリンガルの子供の初期の言語発達が、モノリンガルの子供と同様であることを示した先行研究について。
スペイン語とカタルーニャ語にふれて育っている0歳児を調べた、スペインのバイリンガル環境の研究(Bosch & Sebastian, 2001)では、2つの言語は音声的特徴が似ていて聞き分けが難しいにも関わらず、同月齢のスペイン語モノリンガル児やカタルーニャ語モノリンガル児と同じぐらい正確に、それぞれの言語を識別できることが示されているという。
他にも、英語・フランス語のバイリンガル児について調査したカナダの研究(Burns et al., 2007)や、英語・ウェールズ語のバイリンガル児が英語モノリンガル児と同時期に、知っている語彙と知らない語彙の音声を両言語識別できた、というイギリスの報告(Vihman et al., 2007)等がある。これらの先行研究から、2つの言語にふれる環境が原因で音声を聞き分ける能力の発達が遅れることはない、と結論付けている。
また、バイリンガル児が2つの言語を区別していることが、喃語の出現でわかるとし、英語とスペイン語のバイリンガル児の喃語発達の比較研究で差がみられなかったことや、英語とフランス語のバイリンガル児の喃語の特徴を分析した研究等をあげている。これらの先行研究より、バイリンガル児はモノリンガル児と同様に喃語が発達し、さらに、言葉を話し始める前の段階から2つの言語を区別して各言語の音声を身に付けられる、としている。
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