トライ、オンラインLIVE冬期講習も無料開放「既存の季節講習文化を変えたい」

 トライグループが2021年夏、完全無料のオンラインLIVE夏期講習を実施した。小学校4年生から高校3年生までを対象に350コマの授業を無料配信し、アーカイブ受講を含めた受講者は20万人を超えた。取組みに込めた思いについて同社担当者に話を聞いた。

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トライグループが2021年夏に実施したオンラインLIVE夏期講習のようす
トライグループが2021年夏に実施したオンラインLIVE夏期講習のようす 全 3 枚 拡大写真

 「家庭教師のトライ」や「個別教室のトライ」などを全国展開しているトライグループは2021年夏、完全無料の「オンラインLIVE夏期講習」を実施した。同社が誇る一流講師陣がこだわりの教材を用いて、小学校4年生から高校3年生までの全学年を対象とした350コマの授業を無料配信。同講習には、アーカイブ受講を含めた20万人以上の受講者が参加した。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、対面型の講習を受けることに未だ不安を覚える家庭も少なくない。また、コロナで所得格差が拡大したことを受け、トライグループでは地域・所得の差にかかわらず誰もが質の高い授業を受けられるように、これ以降もオンライン季節講習を予定しているという。オンラインLIVE夏期講習の企画の背景となるトライグループのビジョンと、これまでの取組み、そこに込めた思いについて同社担当者に話を聞いた。

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対面マンツーマンから、人×デジタルの新しいステップへ



 トライグループの創業は1987年。「人は、人が教える。人は、人が育てる。」を企業理念・教育理念に、子供たちの学びを支える数々の教育サービスを世に提供し続けている。そのサービスに共通する特徴は、徹底的にこだわった「人中心」の教育。担当者は「どれだけオンラインが加速してデジタルが教育を担うようになったとしても、教育の根幹には人の温かみが必要」と話す。おもなサービスは、指導実績120万人を誇る「家庭教師のトライ」をはじめ、教室数620以上を展開する「個別教室のトライ」、教室数503以上を展開する「トライプラス」、通信制高校・サポート校の「トライ式高等学院」、大人向けに語学や資格、趣味やスポーツなどを指導する「大人の家庭教師」など。教えたい講師と学びたい受講生の人と人とをつなぐ、良質な教育サービスを展開している。

 既存事業の業界への影響力の大きさは、さまざまな調査でも証明されている。たとえば「家庭教師のトライ」は家庭教師および生徒在籍数全国1位(2020年6月10日、産経メディックス調べ)、「トライ式高等学院」は在籍生数3,500名以上の通信制高校・サポート校において大学進学率全国1位(2021年4月16日、産経メディックス調べ)である。

超個別最適化・超効率化学習の時代



 同社担当者は、昨今の教育業界について「Withコロナ・Afterコロナにより教育業界には、2つの大きな変化が起きている」と語る。1つ目は学生ひとりひとりの特性やニーズ、得意・不得意に合わせた「超・個別最適化」学習、2つ目は最新のデジタルの力を生かし、従来の学習時間を短縮する「超・効率化」学習だ。

 トライグループではコロナ以前から「いつでも、どこでも、高品質な教育が受けられる」ように、オンライン教育サービスを展開している。これまでオフラインで培ってきた教育のノウハウ、ネットワークを活用し、さらに最新のデジタル・AIを駆使することでインタラクティブなオンライン教育サービスが生み出されている。2021年11月現在までに同社が展開しているオンライン教育サービスは「Try IT」「オンライン家庭教師」「オンライン自習スペース」「オンラインコーチング」「オンライン集団ライブ授業」「AI教育サービス」の6つ。今夏開催した「オンラインLIVE夏期講習」は「オンライン集団ライブ授業」をさらにブラッシュアップしたものだ。

 「かつての塾や予備校というものは、否が応でも自宅に近いところを選択せざるを得ず、かつ講師や家庭教師に関しても、居住地の制約から受講生に与えられる選択肢は限られたものでした。ただオンラインでこれらのサービスを展開することで、いわば属人的だった教育の差を解消し、場所・時間を問わず受講生自らが選択できるようになりました」(担当者)。

トライのCSR「教育格差是正」への挑戦



 同社が提供するオンライン教育サービスのうち、もっとも早くから提供を開始したのは「Try IT」。コロナ前の2015年からスタートした永久無料の映像授業サービスだ。中学・高校の主要科目を網羅した、一流のプロ家庭教師によるハイクオリティな映像授業をインターネット上で提供するサービスで、授業動画数は約6,000本、再生回数は累計2.5億回を突破。この事業の背景には、トライグループがかねてより社会課題として捉えていた「教育格差」への挑戦があった。「日本の教育に存在する、地域と所得の2つの格差に対し、私たちの家庭教師サービスや個別教室の全国展開のみならず、場所や時間に依らない完全無料のサービスに踏み切りました」(担当者)。

DXだから展開できる、受講生へのきめ細かいサービス



 またトライグループでは、ギリア(ソニーコンピュータサイエンス研究所出資)と、生徒ひとりひとりの学習記録を診断し、特性や希望に沿った個別最適化した学習カリキュラムの提示を行う「トライ式AI学習診断」などのAI 教育サービスを共同開発している。さらに、ギリアに加えて旺文社ともタッグを組み、過去問傾向と学習者の得意不得意に応じて、志望校対策に最適な50題を選定する、大学受験に特化した「入試問題的中AI」を共同開発している。担当者によれば、2020年度に実施された大学入試においては、当時の対象32大学すべてにおいて、「入試問題的中AI」が予想した問題に類似した問題が出題され、2021年11月現在は129大学・824学部に対応しているという。

 その他4つのオンラインサービスは、コロナをきっかけとして2020年にスタート。これまでオフラインで提供してきた良質なコンテンツを、オンラインで提供できるようにアップデートしたものだ。1対1の双方向性を担保しつつ、個別指導をそのままの質で提供する「オンライン家庭教師」。「オンライン自習スペース」は、個別教室のトライで設けている自習スペースをWeb上に開設したもので、コロナ禍により外出しづらい状況下でも、自習するために受講生同士が集える場として無料で設置している。

 「オンラインコーチング」は、同社が提供する教育プランナー制度「トライさん」のオンライン版。教育プランナー制度「トライさん」は、生徒1人につき、同社正社員1人が教育プランナーとして、学習の進捗確認や生徒の特性や希望などを踏まえた最適な学習プラン設計するなど、オンラインで伴走してくれるサービスだ。

 「オンライン集団ライブ授業」は、さながらデジタル空間上の予備校だ。マンツーマン教育からスタートしたトライグループだが、受講生から「競争環境で勉強したい」など、1対1以外のニーズが一定数あるのに応えて開講したもの。担当者曰く、このヒントのひとつに「合宿があった」という。同社は夏期・冬期など季節ごとに勉強合宿を行っており、受講生同士が切磋琢磨し、競争環境の中で自分の実力を高めるなど、1対1にはない学びのメリットに関しては常々感じていたという。これにヒントを得て、オンラインでも集団ライブ授業を展開。そして季節講習版として、今夏のオンラインLIVE夏期講習に繋がった。

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既存の概念を覆す「夏期講習」、内外から高い評価



 2021年7月下旬から8月末に開催した「オンラインLIVE夏期講習」は、半年以上の準備・構想を経てリリースした一大プロジェクトだった。教育格差の是正という業界の大きな課題解決に挑み続けてきた同社が、オンラインLIVE夏期講習を展開した背景には「従来の夏期講習の文化を変えていきたい」という思いがある。「一般的な夏期講習は、通常期間と比べ受講料が高く設定されています。さらに講師のレベルに関しても、地域格差が依然としてありました。住んでいる地域にある塾の夏期講習を受けざるを得なかった場所依存の状態から、デジタルの力で地理的な制約を取り払うことを可能にしたのです」(担当者)。

 オンラインLIVE夏期講習では1か月以上の間、小学4年生から高校3年生を対象にハイクオリティな授業を無料でライブ配信した。トライ非会員であっても受講できるまさに完全無料のサービスで、全350コマの授業をライブ受講、アーカイブ受講含め、20万人以上が受講した。

 受講生に対するアンケートの結果、平均満足度は5段階評価中4.83という非常に高い評価を得たという。参加者からのコメントには「有料の夏期講習よりわかりやすかった」「離島で周りに塾がない中、たまたまCMをみて受講した。非常に良かったので今後も続けてほしい」「入院中で学校に行けない中、病室から受講できた」「海外からも日本の教育を受けられた」など、地理的・経済的な制約が廃されたことで学習機会を得られた子供たちから、感謝と評価の声が多く寄せられた

 また、教育業界に与えたインパクトも大きく、同業の予備校関係者からの驚きの声も寄せられたという。「『この規模で夏期講習をやるとは』と驚かれました。従来の対面型の夏期講習では、最大でも大規模予備校の200人教室といったところでした。弊社のライブ授業は1コマにつき、リアルタイムで最大600名以上が参加したことで『過去最大規模の夏期講習』と言われました」(担当者)。

対面指導とは別物…オンラインならではの教育ノウハウ



 対面指導で実績を重ねたトライグループも、オンライン教育サービスに着手する際には大きな困難に直面したという。「教材にしても、講師の話し方にしても、対面とオンラインでは響き方がまったく異なります。オンラインLIVE夏期講習スタートにあたり、教材研究や講師の指導には多くの時間を割きました」と担当者は話す。

 同社は2015年からオンラインサービスを提供する中で、受講生が満足する授業の教材や求められる講師条件が対面指導とはまったく異なることに気付き、教材と講師の選抜・トレーニングに徹底的にこだわったという。教材は、例えばスライド上で立方体が展開したり、地球が自転したり、波の上下運動をアニメーションで表現するなど、テンポよく進行し、ダイナミックな動きがある授業用のプレゼン資料を作成。教材の面白さにこだわり、教材作成チームと、実際に授業を行う講師陣が連携して、夏期講習用に2万5000枚以上の授業スライドを作成したという。「コロナ禍において、オンライン授業を始めた塾は多いですが、ここまでわかりやすさにこだわったのは、我々だけではないでしょうか」と担当者は振り返る。

 また、オンラインLIVE夏期講習のための講師の選抜にも注力した。オンラインでも生徒を巻き込み、楽しませるモチベート力や、端的にポイントをわかりやすく伝えるプレゼン力のある講師をトライ講師22万人の中から厳選。すべての講師とZoom授業のシミュレートを行い、授業の進行や構成、言葉遣いなどを1人ずつ丁寧に指導して、徹底的なトレーニングを行った。「タブレットやPCの画面から飛び出してくるような、臨場感のある授業を展開できる講師を集めました。『人』を大切にしてきた弊社だからこそ実現できました」(担当者)。

続く冬期講習も無料開放、日本の季節講習文化を変えたい



 こうしてオンラインLIVE夏期講習を成功させた同社は2021年冬「オンラインLIVE冬期講習」を無料開放する。冬期講習は夏に比べ休みが短いことから、講習日数も年末年始を挟んだ8日間に絞り、非受験生の小学4年生から高校2年生を対象に授業を展開する。「夏期講習では、コロナ禍で受験生以外の生徒は通塾を控える傾向にあり、そのようなお子さまの参加が多い傾向にありました。冬期講習は日数が短いこともあり、網羅的に教科書の内容を教えるよりも、勉強のきっかけやコツに関してのレクチャーをはじめ、短時間で凝縮してわかりやすく伝える授業を展開する予定です」と担当者は話す。夏期にはなかった新しい取組みとして、勉強に向き合うためのやる気を引き出す「特別講義」も予定しているという。

 オフライン全国ナンバー1のトライグループが新しく打ち出した、ハイクオリティな「オンラインLIVE季節講習」の無料開放は、まさに同社が目的としている従来の季節講習の文化を新しく塗り替えていく、大きなうねりとなるだろう。コロナ禍であっても、誰でも、いつでも、どこにいても、安心して良質な授業を受けられるオンライン季節講習の実現は、学びの灯を絶やすことなく、子供たちの力を伸ばし、夢をかなえる手助けとなる。今冬のオンラインLIVE冬期講習にも、全国の子供・保護者から大きな期待が寄せられている。

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《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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