厚労省、原因不明の小児急性肝炎…疑いのある症例12件

 厚生労働省は2022年5月13日、海外で原因不明の小児急性肝炎の報告が相次いでいることから、国内調査を行い、2022年5月12日時点の累積症例12件を公表した。アデノウイルス1型の陽性1例を報告、確定例はなかった。

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小児の原因不明の急性肝炎の入院症例の報告数(2021年10月以降の5月12日10 時までの報告状況)
小児の原因不明の急性肝炎の入院症例の報告数(2021年10月以降の5月12日10 時までの報告状況) 全 2 枚 拡大写真
 厚生労働省は2022年5月13日、海外で原因不明の小児急性肝炎の報告が相次いでいることから国内調査を行い、2022年5月12日時点の累積症例12件を公表した。アデノウイルス1型の陽性1例を報告、確定例はなかった。

 イギリスやアメリカ等を中心に報告が相次いでいる原因不明の小児急性肝炎について、厚生労働省では4月20日に自治体等に情報提供を依頼、4月27日には積極的疫学調査の協力依頼を発出。2021年10月1日から2022年5月12日10時までの累積報告症例12件を公表した。

 2021年10月1日以降に診断された原因不明の肝炎入院例のうち、確定例は現時点で見つかっておらず、アデノウイルスによるものが1例認められた。ただし、イギリス等で報告されているアデノウイルス41型ではなく、アデノウイルス1型によるもので、関連性はわかっていない。この他、地方衛生研究所において4件は検体の精密検査中、1件は検体の有無を確認。なお、2021年10月から遡って症例報告を求めているので、すべてが4月以降の症例でないことや、既に退院した者も含まれていることに留意が必要。

 急性肝炎は、食欲不振、全身倦怠感、悪心・嘔吐、右季肋部痛、濃色尿、下痢や黄疸等が認められることが多いが、症状は原因ウイルスによって異なり、肝移植等が必要となるケースもある。アデノウイルス肝炎はアデノウイルス感染症の中では比較的まれな疾患で、免疫能低下が著しい患者で発症、しばしば重篤化する。現在、アデノウイルス肝炎の治療として国内で確立された治療法はない。

 厚生労働省は引き続き、各国政府やWHO、専門家等とも連携しつつ、諸外国の感染状況を注視しながら情報収集に努め、今後も、定期的に症例報告を公表していくとしている。

《川端珠紀》

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