2025年、大学入学共通テストに「情報」が加わることが決まり、データサイエンスに関する大学の学部新設も目立っている。これからの時代はITとデジタルをより活用できる人材が、さまざまな価値の創出を担っていくと期待される中で、データサイエンスやAI研究等の分野を志望する学生やZ世代の社会人は、どのように家庭学習やリモートワークの環境を整備すれば良いだろうか。
現在、筑波大学 システム情報工学研究群 博士後期課程に在籍、機械学習やAI研究を進め、企業や国の研究員としても活躍している矢倉大夢氏に、プログラマーやエンジニアのスキルアップに大切な視点や、BenQのアイケアモニターGWシリーズ「GW2485TC & GW2785TC」とモニター掛け式ライト「ScreenBar Plus」の活用法を聞いた。
機械学習やAIをどう使っていくかを研究テーマに
--矢倉さんは現在はどのような活動をしているのでしょうか。
今は筑波大学大学院の博士課程の2年で、機械学習やAIをどう使っていくか、その技術によって広がった未来にさらにどういう技術が必要になるのかという研究をしています。プログラミングをして物を作り、論文を書く、というのが日常ですね。また、GoogleとMicrosoftから全世界の博士課程にいる学生のうちで年間30人ほど選抜されるPh.D. Fellowや、日本学術振興会の特別研究員や科学技術振興機構(略称JST)の研究課題にも選んでいただいたので、企業や国から研究費をいただきながら研究を進めています。
--リモートでの活動が中心なのでしょうか。
分野によりますが、筑波も情報系ならば大学に行かなくてもなんとかなりますのでもう2年ほどキャンパスには行ってません。最後に大学に行ったのは修士課程が終わる時の学長表彰でした。オンライン表彰式で画面に向かって感謝の言葉を述べることになったので、家で良かったかもと思いました(笑)。最近は海外出張が増えてきましたが、海外でも自宅でも、どこでも仕事ができます。
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中学のころからプログラミングと研究を継続中
--この数年でパソコンやタブレットの学習活用もリモートワークも一般化しましたが、矢倉さんご自身は幼少時代、灘中学校・高等学校、筑波大学、国の研究員というキャリアを歩む中、どのようにパソコンや外付けモニターといった機器とプログラミングに出会ったのでしょうか。
小学生のころから家にパソコンがありましたが、プログラミングはまったくやっていませんでした。中学生のときにパソコン部に入り、そこで初めてプログラミングと出会いました。中学3年生の時に「未踏 IT人材発掘・育成プロジェクト(*)」に選ばれて、資金をいただきながらソフトウェアの開発を経験し、中高生でもできることはたくさんある、プログラミングはとても魅力的だと感じました。そこからずっとプログラミングをやっています。*独立行政法人情報処理推進機構が、ITを使ってイノベーションを作り出せるアイデアや技術をもった若い人材を発掘・育成する未踏人材発掘育成事業のこと
その後はセキュリティに興味をもち、国内外の大会に出場するようになりました。受験勉強よりも楽しそうだなと思い、高校3年生の夏休みに3週間ほどイタリアの研究所のサマースクールに行く等、学校外に活動の場が広がっていきました。そして、今も共同研究をしている先生の研究に興味をもち進学して現在に至ります。同時にチームボックスという会社で実際にビジネスや社会にどう研究を落とし込むかも模索してきました。現場で見つける課題が新たな研究につながり、さまざまな論文を書いて、気がつけば博士課程になりPh.D. Fellowにも選んでいただいたという感じです。
外付けモニターは、中学生のころには既に家にありました。最初は23インチでしたが、高校生の後半から今も27インチを使っています。ノートパソコンと外付けモニターのダブルスクリーンで使っていますが、この環境に慣れているので外付けモニターがないと不便だと感じます。
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スキルアップの秘訣は「まず好きなもの、やってみたいものを試す」
--プログラミングスキルを高めるためにどのようなことをしてきましたか。
好きなものを作ってみる、こういうのをやってみたい、と思い付いたことをすぐに試してきたことが、結果的にスキルアップにつながりました。最初のころはプログラミングの教科書を読むこともありましたが、実際にプログラムを書き始めて以降はほとんどありませんでした。たとえば、チャットに応答してくれるチャットボットがあったら面白いなとか、Skypeのチャットにどうボットをつなぐか等、試行錯誤しながらやっていましたね。
学生時代はコンテストや大会もたくさんあって、それもモチベーションでした。いろいろな大会に出ましたが、競技プログラミングでは国際情報オリンピック代表候補に日本代表候補に2回選出され、アジア太平洋の銅メダルも得られました。同じ部活の同級生は日本代表になったので、そうした周りの人の影響もありました。頑張っている人がいる、ちょっと詰まった時にすぐに聞ける人がいるという環境は大きいです。
--コミュニケーションも大切ですね。
やはり人に聞ける環境に身を置くことが大事かもしれません。本当に行き詰まると1週間経っても解決できないこともあって、それが続くともう諦めてしまうと思いますので、それが乗り越えられる環境、聞ける先輩や仲間がいるかどうかは自身のスキルアップを左右すると感じています。
日本の教育の変化はポジティブ
-- 2025年には大学入学共通テストに「情報」が加わります。またデータサイエンスを学ぶ学部の新設も目立つ等、日本の教育も変わろうとしています。こうした動きをどのように受け止めていますか。
全体的にはとてもポジティブだととらえています。その理由は2つあって、まずチャンスがあること。プログラミングに触れる機会がなく出会わずにいるのではなく、プログラミングでできることとは何かを知って、実現していく人が増えるのはとても良いことです。周りの環境が大事という話もしましたが、その一方で自分の力でできる部分も大きい領域です。うまくつながれば、未踏プロジェクトのようなチャレンジもできますし、世界とのつながりも生まれやすい。
もう1つは、ある意味での「教養」だと思います。聞いたことがあるなという人が増えることが重要です。たとえば、「国破れて山河あり」と聞けば、杜甫の詩だとわかるように、これは「TCP/IPで動いている」と聞いて、その言葉は聞いたことがあるとなればハードルが下がります。これからは抵抗なく新しい技術を取り入れられる社会になることが必要です。そこに向けて少しずつ進んでいるので、必ずしも皆がプログラマーになる必要はありませんが、プログラミングで解決できることはどんなものなのかを知っているのは、多くの人にとってプラスです。
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--海外での研究経験も多い矢倉さんから見て、日本の学校教育におけるICTの利活用はどのように感じていますか。
もっと良くできる部分はたくさんあると思います。日本の教育という型に無理やりはめようとして、たとえばペーパーテストで「TCP/IPとは何か」と記述させると「情報」の授業が嫌いになる生徒が増えそうだと思っています。そういう生徒が少しでも減るようなハッピーな取り組みが良いですよね。使いこなせる先生や学校も増えていますし、学校内の教員だけではなく外部の人の力を借りたり、さまざまな学校での事例がシェアされたりして多くの学校に広がっていけば、もっと良くなるでしょう。
学校教育の双方向コミュニケーションでICTをうまく活用できない場合、ICTの問題よりも、その外側の問題が大きい気はしています。もともとICTを使って双方向な授業や教育をやりたい人が、技術を使おうと先進的に機能を取り入れればうまくいくケースは多いと思います。ただそうしたベースなしに、とりあえず双方向にできる技術を入れたとしても、うまくいかない部分はあります。どういう教育を行っていくのかというベースの部分が合っていないと、機能を使いこなすのは難しいだろうと思います。
--そこで大切なのは、「どういう教育をするか」ですね。
そうですね。情報の授業だけではなく、他の教科も含めてどうあるべきなのかという意識が必要なのではないでしょうか。家庭科の双方向の授業とは何だろうかとか、自分で考えるとはどういうことなのだろうという、もっと深い部分を考える必要があると思うんです。
社会科の調べもの学習でパソコンやタブレットを使う授業も多いですが、パソコンを使わないといけないから授業に取り入れました、という感覚の先生は、変化を受け入れるためのハードルが高い気もします。それが、たとえば昔ながらの紙にまとめる作業を行った経験をベースとした上で、それをパソコンに取り込んで子供同士が協力しながら授業ができたり、Web上でスライドを編集したりと、パソコンでできることの幅が広がっていくともっと良くなりますよね。今の時点というのは、まずは教育現場に機器を導入するという大きな壁を越えられたところなので、これからが発展していくフェーズではないでしょうか。
裏側の仕組みを探る、興味をもつことがプログラマーには大切
--プログラマーにはどんな人が向いていますか。またプログラマーにとって大切な力は何でしょうか。
「面倒くさがりな人」の方が向いているとは言えますね。自分ですべてやっちゃえば良いと思っている人は、プログラミングしなくても自分でできてしまう。こんな面倒くさいことやってられないと思う人、その解決のために楽できる方法はないか試しにやってみよう、と思える人が向いているかもしれません。
プログラマーにとって大切なのは、裏側の仕組みを掘り下げること、いわば「興味をもつことに抵抗がないこと」です。プログラミングの技術自体もさまざまで、ゼロとイチの電気の流れといった部分もあれば、スマートフォンのアプリを作るフレームワークといったものまで、非常にいろいろな技術が重なって成り立っています。それぞれ興味のある部分をやるのは良いですが、その時に、「その裏にあるのはなんだろう?」と興味をもって理解していけば、いろいろと応用が利いて自分でできることの幅が広がります。
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たとえば、私は最近日本庭園に興味があるのですが、観ていると日本庭園に共通した文法や考え方のようなものが見えてきて面白いんです。その構造や仕組みについて調べようと文献等を読んだら、禅の概念について触れられていたんです。そこで、「そういえば日本史で習ったな」と以前学んだことを思い出し、知識が結びついてさらに興味がわく。プログラミングも同様で、「そういえばTCP/IPって習ったな」という感じで、まずは興味がもてれば良いと思うんです。
中学や高校で勉強したからこそ興味をもてる部分もあるので、これからプログラミング教育が進んで10年後、20年後に良いつながりが出てくればと思っています。プログラミングを学び始めた学生や新人プログラマーの方には、やはり普段触っているところの裏側を調べてみる、隣の人が何をしているのか興味をもって見る等、パズルを解くような感覚でやってみることは重要だと思います。
トライ&エラーのスピードを高めるアイケアモニター
--今回お試しいただいたBenQのアイケアモニターGWシリーズ「GW2485TC & GW2785TC」とモニター掛け式ライト「ScreenBar Plus」はどんな風にお使いいただきましたか。
メインマシンのサブモニターとして使いました。メインマシンの左斜め横に置いて、プログラミングや論文を読むときにはアイケアモニターを縦にして表示しています。またメインマシンでプログラミングをして、アイケアモニターで実行結果を見て、エラーが起きている部分を修正したり、あまり集中していない時はメインのスクリーンでプログラミングをしながら、アイケアモニターでSlackやTwitterを表示したりしています。気分によっては逆に表示することもありますね。
--気分でメインとサブを変えるんですね。リモートワークの気分転換にもなりますか。
それもありますね。逆に集中しすぎると、まったくコミュニケーションツール等の通知に気が付かないこともあるので、モニターに大きく通知が出ると助かります。プログラミングに集中すると10時間ほどやっていて、気がつけば夜中の3時になることもあります。
アイケアモニターはUSB Type-Cでつなぎましたが、給電機能は便利ですね。パソコンを開いたまま食事する等、パソコンとモニターを中心に生活をしている感じですので、余計なコードがいらず配線がまとまって、ワークスペースがすっきりするのは助かります。またライトの「ScreenBar Plus」は色味の調節も可能で、手元だけが明るくなるので良いなと思いました。
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--外付けモニターの活用のアイデア、これからプログラマーやエンジニアを目指す方へスキルアップのためのアドバイスを教えてください。
モニターの大きさは勉強机の広さなので、狭いとすごく不便ですし、できることが少なくなります。サブモニターとして調べ物をした結果を表示して、そのままメインで作業するにも外付けモニターは利便性が高いです。情報が整理され、いろいろなものが瞬時に把握できます。スライドを作るのも、外付けモニター側に調べた結果を写しながらメインマシンでまとめられます。
プログラミングでは、動かしたものを外付けモニターで確認しながら進めれば、トライ&エラーのスピードも速くなり、試せる幅も広がります。スキルアップにもつながるので、プログラマーはダブルスクリーンの環境は絶対に作った方が良いですね。トライ&エラーを繰り返すと、エラーが出て動かなくなることへの抵抗感が減ります。やはりエラーを恐れているとスキルアップはしにくいです。
私が今こうしてプログラミングを続けていられるのは、幼いころからいろいろなことに興味をもち、チャレンジして、トライ&エラーを繰り返し、たくさんのことを経験してきたからかもしれません。やってみてうまくいけば楽しいし、うまくいかなくても、その過程での学びがあると思えるようになりました。
--ありがとうございました。
AIが人のできることを支援し拡張していく世界へ。矢倉氏の研究は「人」への関心がベースだという。プログラマーとは、さまざまな事象を結びつけて問題解決に挑む素晴らしい仕事。そのために幅広く思考を巡らせるには、ダブルスクリーンで情報量を確保する外付けモニターの活用は必然だと感じた。プログラマーやエンジニアを目指す学生や社会人の方にも、このアイケアモニターをフルに活用してほしい。
矢倉大夢さんに聞いた、BenQのアイケアモニター
「GW2485TC & GW2785TC」5つのおすすめポイント
1. プログラマー必須。高さや角度の調節がしやすい「エルゴノミクスデザイン」
長時間、画面に向き合うことが多いプログラマーやエンジニアは姿勢が固定し身体への負担も大きい。スウィーベル(左右45度)やチルト(上下-5度/20度)機能、回転(90度)機能で、フレキシブルに高さや角度を調整すれば、自分に合ったダブルスクリーン環境が実現する。
2. デスク環境もすっきり。PCは給電可能なUSB Type-Cでの接続が便利
アイケアモニターへの接続はHDMIに加えて、USB Type-Cが利用可能。Type-Cならば60W給電で充電もできる。コードがすっきりとまとまるのでプログラマーや学習者のデスク環境は使いやすく過ごしやすいものになる。
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3. プログラマーやエンジニアの眼の負担を減らすアイケア機能
画面の色味を変えるモードやブルーライトカット機能、環境に合わせて明るさを自動調整できる「ブライトネスインテリジェンス(B.I.)」、ちらつきがないフリッカーフリー等のアイケア機能は、長時間にわたりスクリーンに向き合うプログラマーには必須。
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4. プログラミングに最適な縦長画面&コーディングモード
プログラミングやWebサイトでの資料検索、論文等は文字の分量も多く、コンテンツ領域は縦スクロールで下方に伸びていく。プログラマーやエンジニアには簡単に縦長になるモニターが有用となる。コントラストや彩度の高い描写を可能にするコーディングモードと組み合わせて使えばさらに効率アップ。
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5. オンライン会議で便利な内蔵ノイズキャンセリングマイク
会議室に複数名が集まってオンライン会議をする場合、アイケアモニターに映像を写しながら内蔵のノイズキャンセリングマイクに向けて全員が話せば、音声もクリアでハウリングの恐れもなく、会議の進行もスムーズになる。
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手元を照らすモニター掛け式ライト「ScreenBar Plus」
モニターに掛けるタイプの「ScreenBar Plus」は手元だけを明るく照らすので、長時間の利用でもまぶしさがなく眼の負担にならない。またプログラミングや動画の視聴、部屋の明るさ等、状況に応じて好みの色味や明るさを調節できるのも利点。
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23.8インチ Full HD スタイリッシュアイケアモニター GW2485TC
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ScreenBar Plus モニターライト