多様な学びと進路情報を提供「リセマム」の明日

 このたび「リセマム」は、教育書籍としては異例の17万部ものベストセラー『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)を執筆、リセマムでもライターやイベントのファシリテーターとして活躍してきた教育ジャーナリスト・加藤紀子さんを新たな編集長に迎えました。

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多様な学びと進路情報を提供「リセマム」の明日
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 「お子さまのより良い未来応援サイト」をビジョンに、日々進化を続けるリセマム。

 このたび、教育書籍としては異例の17万部ものベストセラー『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)を執筆、リセマムでもライターやイベントのファシリテーターとして活躍してきた教育ジャーナリスト・加藤紀子さんを新たな編集長に迎えました。

 教育に幅広い知見をもつ加藤さんに、リセマムをどんなメディアとして成長させて行きたいか、その思いとビジョンを語ってもらいます。

リセマムについて

田村麻里子:私は初代のリセマム編集長で、現在はリセマムとリシードという2つの教育専門メディアを統括しています。

 2010年に立ち上げたリセマムは中学受験情報からのスタートでしたが、おかげさまで現在は年間1.5億PV(閲覧数)に届く勢いで、未就学児から高校生までのお子さまの保護者を対象とし、教育の多様な選択肢について情報発信する教育専門メディアへと成長しました。

 2020年からはリセマムとは姉妹関係のメディアとして、教育関係者をおもな対象としたリシードという教育業界向け情報サイトも立ち上げました。両サイトとも「お子さまのより良い未来を応援する」という理念の下、日々読者の皆さまに役立つ情報をご提供しています。

 そしてこのたび、リセマムの新しい編集長として、教育ジャーナリストとしてご活躍の加藤紀子さんをお迎えすることになりました。加藤さんには以前からリセマムのライターとしてもたくさんの記事を執筆してきてもらいました。

リセマムとの出会いから今日まで

田村:私がリセマムを始めてから13年だけど、加藤さんと出会ったのは7年前でしたね。

加藤:そうです。下の子がちょうど中学受験を終えたばかりのタイミングでした。

田村:リセマムに小さく出していたライター募集のページから応募してきてくれたのが加藤さんとの初めての出会いでしたね。ご主人がリセマムの読者だったとか。

加藤:そうなんです。中学受験の情報が参考になるからとリセマムの記事を読んでいたらしく、ライター募集が出ているから応募したら?と。

田村:リセマムに応募してきてくれたのは、以前からライターのお仕事をされていたからなのですか。

加藤:はい。アメリカから帰国してからしばらく、友人が立ち上げたビジネスパーソン向けのメディアで記事を書いていたんです。ただ、父が難病で療養が長期にわたり、それに2人の子供の中学受験も重なって、しばらく仕事から離れていたのですが、もう一度やりたいなと。それで最初に応募したのがリセマムだったんです。親として2人の子供の中学受験を経験したばかりだったし、教育分野なら即戦力として働かせてもらえるかなと。

 田村さんとは初対面なのにとても和やかに話が弾み、無事採用して頂きました。リセマムで記事を書くようになると、他のメディアからも次々とお仕事を頂けるようになりました。

田村:そして2020年にはご自身では初めての著書である『子育てベスト100』(ダイヤモンド社)を出版されて、これがなんとAmazon総合1位。17万部ものベストセラーになったんですよね。中国・韓国・台湾・タイ・ベトナムでも翻訳されて、教育書籍としては異例の大ヒットでしたね。

加藤:自分の子供が小さかったときにこんな本が欲しかったな、という思いでまとめたのが良かったのかもしれません。韓国では最もメジャーな「朝鮮日報」という新聞の書評でも取り上げて頂いたのですが、インスタグラムで日本だけではなく韓国の親御さんたちが「国は違っても親の思いは同じ」といった感想をたくさん投稿してくれて、とても嬉しかったです。国を問わず、親目線で良質な情報を厳選して届けることへのニーズをあらためて実感しました。

田村:実は私がリセマムを立ち上げたきっかけも、我が子の受験を終え、こんなメディアがあったらよかった、と考えたことがきっかけでした。思いは同じですね。

リセマムへの参加を決めた理由

田村:その後は『ちょっと気になる子育ての困りごと解決ブック!』(大和書房)、『海外の大学に進学した人たちはどう英語を学んだのか』(ポプラ新書)といった本を出版されたほか、セミナーへの登壇など活躍の幅が広がりましたね。リセマムのイベントにも何度かご協力頂きました。そんな中、なぜリセマムへ参加しようと思ったのですか。

加藤:昨年下の子が高校を卒業し、子供が二人とも大学生になりました。自分としては子育てに一区切りついた感があってほっとしたのと同時に、これからは子育ての現場感みたいなものがどんどん遠くなっていくだろうなぁと感じるようにもなりました。

 加えてここ2、3年では、コロナ禍によってオンライン化が加速したり、学習指導要領や入試が変わったりと、教育を取り巻く環境は大きく変化しています。そうなると、そんな転換期に子育てをしている親御さんだからこそわかる課題や現場の声というのは、そこから遠ざかっていく自分よりもその近くにいる人のほうが、もっと実感の伴う言葉で伝えられるのではないか。だから自分はそろそろステージを変えたほうが良いのかも、と思うようになったのです。

 一方で私には、子育てが一段落した分、子育て真っ只中の親御さんたちよりも比較的余裕をもって、長い目で教育全体を俯瞰できるという強みがあるのかな、と。

 さらに、これまでいろんなテーマで取材をしたり、勉強したりしてきたことで、たとえば「今後、教育はどんな方向に舵を切っていくのか」といった大局的なテーマについても、私なりに積み重ねてきた知見も生かせるんじゃないかな、と思えるようになりました。

 そんなふうに考えていたとき、環境や成長段階に合わせて、良質な情報を厳選して届けていくことで子供たちの未来を応援していく、というリセマムのミッションと自分の思いがちょうど重なった、という感じです。

田村:幸いリセマムは早くから教育ICTには力を入れてきたので、受験情報だけではなく、ICTを活用した先端的な教育へのさまざまな取組みに関しても積極的に発信してきました。そういう意味では、未就学児からの、教育の多様な選択肢を発信するメディアへと進化してきたと言えます。

 ただ、今は私がリセマムを立ち上げた13年前と比べて変化のスピードが速くなっているし、親御さんたちのニーズも、そして供給する側のサービスも、非常に多様化してきていることは日々痛感しています。

 今後も読者にとって役立つメディアであり続けるには、現状を追うだけではなく、さらに先を見据えた大局的な視点が必要だということは私も常々感じているところでした。私が加藤さんに期待したいのはまさにそこです。

加藤:先日EDIX2023という教育ICTのイベントに参加した際、「教育界のノーベル賞」とよばれる「グローバル・ティーチャー賞(Global Teacher Prize)」でトップ10に選出された立命館小学校の正頭英和先生のご講演でとても印象的なメッセージがありました。それは親や教育者に向けた、「教わったように教えない」という言葉です。

 つまりもう、学校も、そこで行われる教育も入試や進路の選び方も、我々大人が経験してきたものとは随分違うのだということ。それをしっかりと自覚して、我々は自分たちが経験してきたことを思い切って手離さないといけない。生成AIの登場は決定的で、その流れは変えられないと思うのです。

 けれど、手離した先に頼れる情報やサービスは玉石混交で、まだまだ交通整理し切れていません。それを必要としている人たちに厳選して届けていくことがこれからのリセマムが担うべき役割なのかなと思っています。

田村:初代の編集長として私が中学受験と教育ICTを軸に立ち上げ大学受験情報まで提供してきたのがリセマム1.0、そして2代目の野口編集長が幼児教育やオルタナティブ教育など広い領域での情報提供を実現したのを2.0だとすると、加藤編集長はどんなリセマム3.0を目指そうと考えていますか。

加藤:「スピード」と「手触り感」という、一見すると両立しにくそうな両輪でやっていけたらと思っています。

 まず「スピード」については、今のリセマムがここまで成長してこられた基盤となっている大きな強みの部分です。教育に関する最新情報をスピーディーにお届けするという役割は多くの読者から信頼を寄せて頂いているところであり、これまでどおりしっかり受け継いでいきたいと思っています。

 そしてもうひとつの「手触り感」ですが、これは一言でいうと、オンラインとオフラインの融合です。

 田村さんも私もそうであったように、どんな親御さんにとっても子育ては手探りの連続です。情報はもちろん必要だけれど、それ以上に今抱えている心配や悩み事を誰かに聞いてもらいたいとか、こういう人に会ってこんな話を聞いてみたいといったニーズをおもちの方はたくさんいらっしゃるはずです。

 また、学校の先生をはじめ、教育に携わる方々も、これまでお話ししてきたような目まぐるしい変化への不安や、新しいことへ挑戦する上での孤独感といったものを抱えていらっしゃると思います。

 だからこそ、情報を全方位でしっかりと厳選し、さらに今後は動画を通じてお伝えするコンテンツにも取り組みながら、必要とする読者に届けられること。そしてそうした良質な情報と一緒に「手触り感」のあるサービスやコミュニティで、ひとりひとりに寄り添えるようなメディアへと成長していきたいなと思っています。

田村:リセマムに加藤編集長を迎え、私自身も今後のリセマムの成長が大変楽しみです。前編集長の野口、そして私も引き続きリセマム、リシードで、読者の皆さまにお役立ていただけるようメディア運営をしてまいります。加藤編集長から「オンラインとオフラインの融合」という話がありましたが、2021年10月に仲間に加わった、進路・教育関連のイベントを運営するリンクとも連携し、有益な情報と、お子さまの体験や進路選択の機会の提供に取り組んでまいります。ご期待いただけますと幸いです。

《編集部》

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