東京都内公立学校の体罰実態、部活動中0件に…調査開始以来初

 東京都教育委員会は2023年11月24日、2022年度(令和4年度)に発生した東京都内公立学校の体罰の実態把握調査の結果を公表した。体罰は7件で2012年度の調査開始以降、初めて部活動中の体罰が0件となった。

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2022年度に発生した都内公立学校における体罰等の状況
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 東京都教育委員会は2023年11月24日、2022年度(令和4年度)に発生した東京都内公立学校の体罰の実態把握調査の結果を公表した。体罰は7件で2012年度の調査開始以降、初めて部活動中の体罰が0件となった。

 東京都教育委員会は、体罰根絶に向け都内の全公立学校の教職員、児童・生徒を対象に、体罰の実態把握調査を実施している。2022年度は、都内の全公立学校2,146校を対象に、2022年4月1日~2023年3月31日の期間に調査を実施。児童・生徒、教員らからの日常的な情報提供のほか、2022年12月に質問紙と聞き取りによる実態把握調査を行った。

 2022年度に体罰を受けた児童・生徒は9人。体罰などを行った行為者の内訳は「体罰」7人、「不適切な指導行き過ぎた指導」78人、「暴言等」116人。前年度と比較すると「体罰」以外は、「不適切な指導行き過ぎた指導」が17人増、「暴言等」が46人増と増加がみられた。

 このうち「体罰」が行われた場面は、すべて授業などの教育活動中で、調査開始以降、初めて部活動中の体罰が0件となった。体罰の校種別内訳は、小学校3人・中学校4人。行為者の年代は、30代1人、40代2人、50代1人、60・70代3人であった。

 体罰に至る原因は、「指示に従わない」3件、「問題行動を止めるため」2件、「態度が悪い」1件、「その他」1件。体罰に対する認識は、「言葉で繰り返し言っても伝わらなかった」4件、「感情的になった」2件、「体罰と思っていなかった」1件。体罰により傷害を負わせた事案が1件あった。

 東京都では体罰根絶に向け、年2回の服務事故防止月間に、全公立学校の教職員に対して体罰防止などに係るセルフチェックを実施。新たに服務事故防止研修の中で、暴言などにあたる具体的な文言例や、児童・生徒のおもな問題行動の背景・要因を踏まえた適切な対応例を示し、教職員への啓発を実施した。

 児童・生徒向けには、校長講話やスクールカウンセラーらによるケア、不安や悩みを相談できる窓口を紹介した相談シートの配布を実施。2023年度からは、体罰や性暴力を含めた児童・生徒からの相談を把握する相談シートを活用した総合的な実態把握へと移行している。

《川端珠紀》

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