【医学部受験2025】入試直前、合格を勝ち取る効率的な過ごし方

 共通テストまで1か月を切った。医学部入試が迫る今、合格に向けての効率的な過ごし方とは。駿台予備学校で医学部受験生向けオンラインコースの担任を務める柳生璃乃氏を取材した。

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インタビューに応じてくれた駿台予備学校で医学部受験生向けオンラインコースの担任を務める柳生璃乃氏
インタビューに応じてくれた駿台予備学校で医学部受験生向けオンラインコースの担任を務める柳生璃乃氏 全 7 枚 拡大写真

 いよいよ入試本番が近づいてきた。中でも医学部受験は、2025年1月18・19日に行われる共通テスト直後から私立大の入試が始まり、2月上旬にかけて連日のように試験が続く。今春も激戦が予想される医学部に合格するには、限られた時間の中でどのような戦略を立て、どう効率的に過ごせば良いのだろうか。駿台予備学校で医学部受験生向けオンラインコースの担任を務める柳生璃乃氏に直前期のアドバイスを伺った。

残り1か月、必ずやるべきこと

--医学部入試は、共通テストの直後から私立大学の試験が次々と始まります。共通テスト対策と並行しなければいけない国公立大医学部との併願者、そして私立大医学部の専願者それぞれ残りの1か月で必ずやっておくべきことを教えてください。

 共通していえるのは「過去問演習に早めに着手する」ということです。2025年度入試の日程をみると、共通テストが1月18・19日で去年より遅い日程となり、医学部はその直後の21日から私立大の入試が始まります。今年度は慶應義塾大学が入試日程を早めたこともあり、2月上旬までが過密スケジュールになっているため、より計画的に着手していく必要があります。医学部以外の学部であれば、共通テスト終了後でも過去問に取り組む時間が取れるかもしれませんが、このスケジュールを見る限り、私大医学部に関してはそのような余裕はありません。入試日までの時間を逆算し、年内から年明けにかけて、あらかじめどのように進めていくか計画を立てておくことが重要です。

--対策の時間が限られてくるということですが、受験する大学はどのように選べば良いでしょうか。

 私立大の場合は学費や偏差値、試験日など選定するポイントはさまざまありますが、模試の偏差値だけで選ばないようにすることが大切です。偏差値に関係なく、難易度の高い問題を出題するところもあれば、標準的な問題が多くても、試験時間に対しての設問数が多く、正確性だけでなくスピードを求める大学もあります。そう考えると、偏差値だけで受験校を決めるのではなく、必ず過去問を解き、その大学の問題を解いた際の手応えも重要な基準になります。

 そのためにも、まずは「戦う相手を知る」という意味で各大学の過去問に触れてみること。たとえば英語であれば、文法問題や自由英作文の有無、数学や理科は頻出分野や出題形式が択一式か記述式かなどを考慮しながら、どのような力を求められているのかを確認したうえで選んでほしいですね。

--国公立大医学部との併願者は、共通テスト対策とどのように両立すれば良いでしょうか。

 国公立大の医学部は共通テストの点数が合否に大きく関わるため、つい共通テスト対策に時間を費やしたくなってしまうはずです。私立大の専願者に比べると、併願者は過去問対策の時間が捻出しにくいのが現実です。

 それを前提として受け止めながらも、共通テスト後すぐに始まる私立大入試に備えて、時間を作って過去問演習を進めておくこと。直前1か月間を共通テスト対策だけに特化してしまうと個別試験への切り替えが難しくなることも多いので、年内には私立大の過去問にも必ず触れておきましょう。たとえば1週間単位で考えて、共通テスト対策をやりつつも、私立大の過去問に取り組む日時を設けるといった計画的なスケジュールの振り分けが必要です。

--私立大の専願者は、ここから約1か月間をどのように過ごせば良いでしょうか。

 私立大の医学部は、スケジュール上、受けようと思えばかなりの数の大学を受験できます。とはいえ、事前の対策なしではすべてが中途半端に終わってしまう可能性があります。それを避けるためにも、先ほどお伝えしたように受験校を選定したうえで、最低でも1年分、できれば3年分以上は過去問を解いておくこと。そして、その大学が求めている力は何か、自分には何が足りないかを把握し、入試本番までにしっかりと補強しておきましょう。

インタビューに応じてくれた駿台予備学校 医学部受験生向けオンラインコース担任の柳生璃乃氏

過去問演習で陥りがちな失敗

--一方で、残りの1か月でやってはいけないこと、避けるべきことはどのようなことでしょう。

 過去問を事前に解くようにと話しましたが、実はこれには注意が必要です。「●年分の過去問をとかなければいけない」と思うあまり、数をこなすこと自体が目的になってしまい、自己採点や肝心の復習を疎かにしてしまうことがあります。これは絶対に避けなければいけません。

 受験生の心理としては「過去問をこれだけやった」という満足や安心につながるかもしれませんが、過去問演習は、問題との相性や出題傾向を知るだけでなく、自分ができなかったところを分析し、何が足りないかを把握し、今後に向けてその対策を立て、実行するサイクルを意識して取り組んでほしいです。そのためのポイントは、過去問を解いたら、振り返りの時間を十分に作ること。解けない問題に出会っても「本番までに弱点を見つけられて良かった」「自分が成長できるチャンスだ」と前向きにとらえて生かすことが大切です。

過密なスケジュールをどう乗り切るか

--私立大学の医学部入試は、面接が行われる2次試験を含めると、非常にタイトなスケジュールですね。今年度は1次試験だと、1月21日から2月7日まで毎日どこかの大学で入試が行われます。効率的に受験して、合格を勝ち取りたい受験生も多いと思いますが、このタイトなスケジュールを乗り切るコツについて教えてください。

 まず1つは、繰り返しになりますが、早く過去問に着手すること。入試が始まり、連日の受験となると、落ち着いて過去問を解く時間は確保できません。あわせて、2次試験の面接や小論文の対策についても、志望理由書とあわせて準備を進めておくと良いでしょう。

 そして医学部受験で大事なのが、徹底した体調管理です。連続日程の入試となると、体力的にも相当きつくなります。同居の家族を含め、外出時にはマスクを付け、手洗いうがいを欠かさないなど、体調には十分気を付けておきたいところです。特に睡眠は重要です。直前期に毎晩深夜まで無理をする学生もいますが、夜型の生活に慣れてしまうと朝が早い入試に適応しづらくなりますので、入試本番のスケジュールにあわせて生活リズムを整えるとともに、十分な睡眠を取るようにしましょう。

--体調管理のほかに家族ができるサポートはありますか。

 連日受験が続くと、1次、2次の合格発表はいつか、合格した場合の納付金の準備や振込期限など、パズルのようなスケジュール管理を強いられます。これを受験生本人が抱えるのは非常に負担が大きいため、保護者の方がマネージャー役として詳細を把握しておくと安心です。せっかくの合格も、納付金を振り込み忘れてしまっては水の泡です。

 また、遠方の大学を受ける場合には、試験会場近くに前泊・後泊することも念頭に置いてください。新幹線チケットやホテルの手配も保護者の方ができるサポートの1つだと思います。

医学部受験のタイトなスケジュールをどう乗り切るか、秘訣を教えてくれた

私立大学医学部は何校受ける?学費はどうする?

--私立大の医学部は、出願する数は何校くらいが一般的なのでしょうか。

 国公立大医学部との併願者と私立大医学部の専願者とで変わってきますが、おおよそ3~8校といったところでしょうか。ただし、私立大は合格の機会を増やすために受けられるだけ受けるという人もいます。

 出願先は、一般的な受験だと「目標校」「実力相応校」「安全校」と3つに分けてバランスよく選定するのが基本ですが、医学部受験ではそのように選定するのが難しい場合が多いです。したがって、まずは第1志望としている大学の入試問題をもとに、出題傾向が似ている大学を選ぶと、効率的に対策が進められると思います。そして、先ほども申し上げましたが、模試の偏差値だけで決めるのではなく、必ず過去問題を解き、自分が手応えを感じる大学を選ぶことも重要です。

--いち早く医師になりたい受験生は「何としてでも合格したい、私立大にも可能な限り挑戦したい」と考えると思いますが、私立大医学部には学費という壁が立ちはだかります。入学手続きだけでも相当な金額を準備する必要があると聞きます。

 そのとおりです。6年間の学費も高額ですが、受験料が6万円(複数方式受験の場合はそれ以上)、受験先が遠方だと交通費や宿泊費、さらに合格した場合の入学金と初年度の学費を合わせると、受験の段階でもかなりの金額が必要になります。複数の私立大に合格し、進学先以外を入学辞退する場合、合格後に振り込んだ初年度の学費は戻ってきても、高額な入学金は返金されません。

--国公立大の合否がわかるまで私立大の合格をキープしておこうとすると、学校ごと多少の差はあれど、1校あたり100万円程度かかると聞きました。かなり大きな支出ですね。

 正規合格したのに、経済的な理由で辞退せざるを得ないというケースは毎年少なからずあります。ですから駿台では、保護者会や出願校を決める面談の際に、あらかじめ合格後の話もしています。出願校を決める段階で、合格したら入学手続きをするのか否か、事前にお子さんと意見を統一しておくことが大切です。そして、大学ごとにいつまでにどれだけの金額が必要かを調べ、速やかに振り込めるように準備をしておく必要があります。

--高額な学費を支払えない家庭でも、私立大学の医学部に進学できる道はあるのでしょうか。

 学費については、給付型・貸与型共に奨学金を設けているところも多いですし、地域医療の担い手を確保するための地域枠、さらには防衛医大や自治医科大のように無料で卒業まで過ごせる場合もあります。ただ、こうした制度は、卒業後の数年間は勤務先を含めて働き方が限定されるケースも多いので、受験生本人が将来どういう働き方をしたいかを明確にしたうえで、それでも受けるのか、合格したら進学するのかということには、事前の熟慮が不可欠です。

効率的な出願校の選出方法についてもアドバイスいただいた

連続の不合格から合格を勝ち取るには

--私立大医学部の一般選抜では多くの大学で募集人員が100名以下、模試の偏差値では問題ないはずの大学でも正規合格を勝ち取るのは非常に難しいと聞きます。不合格が続いた場合、どのように気持ちを切り替えれば良いでしょうか。

 今おっしゃったように、医学部入試は「狭き門」です。私立大医学部は定員の少なさや問題との相性、その日の出来などによって、偏差値どおりに合格が出ないというのはよくあることです。

 こちらは2024年度入試で埼玉医科大に進学した卒業生の例です。1月17日の岩手医大から始まり、2月頭まで1校のみ補欠、9校は不合格とかなり苦戦しています。最初の岩手医大でつまずいてからなかなか気持ちが立て直せなかったようでしたが、2月2日の埼玉医大で無事合格を勝ち取りました。

 このように不合格が続いたときには、決してひとりで抱え込まないこと。駿台であればクラス担任がいるので、身近で頼れる人と話をして、気持ちを切り替えることが大切です。

 毎年たくさんの医学部合格者を送り出していますが、連続日程で心身共にハードな入試を上手に乗り切った生徒たちを見ていると、試験が終わったらできなかったところを徹底的に復習し、必ず次の試験に繋げていました。不合格が続いたとしても、そうやって復習を重ねていくうちに、入試を受けながらでも学力が伸びていくのです。日程が進むにつれ、不合格の大学より偏差値が高いところに合格していくケースも少なくありません。別の大学で類似問題が出ることもありますから、最後まであきらめず、「今日の失敗を次に生かす」という姿勢を忘れないでほしいですね。

高卒クラスのオンラインコースは駿台の授業を全国から受講可能

--駿台では医学部受験生に特化したオンラインコースを展開されていますね。どのような学習サポートが受けられるのでしょうか。

 今年度の医学部受験生向けのオンラインコースでは、医学部専門校舎である市谷校舎の授業をライブ配信で受講します。録画配信になる授業も一部あるものの、主要教科についてはライブ配信で、時間割も進むペースも対面コースと同じです。ですから、全国どこからでも市谷校舎の授業が受けられると評判で、今年度は既卒生のクラスでは約100名の生徒が在籍しています。

 我々クラス担任はこまめに面談を実施するように心がけるとともに、駿台でしか得られない医学部の入試情報を提供したり、出願校選定面談、志望理由書の添削や面接対策など、対面コースと変わらないサポートを行っています。オンラインコースの場合、他の受験生の様子がわからないことに不安を感じる学生もいるので、卒業生に協力してもらい、受験時の経験をメッセージで送ってもらったり、現在市谷校舎で指導にあたっている職員にオンラインでモチベーションが上がるような講演会もしてもらっています。

--オンラインでの学習のメリットはどのようなところにありますか。

 最大のメリットは、予備校への移動時間も勉強時間にあてられる点だと思います。私自身も市谷校舎で担任をしていましたが、「医学部を受験するなら駿台の市谷校舎で」と自宅から片道2時間以上かけて通っていた生徒も少なくありませんでした。また、地方から上京して寮に入ったり1人暮らしをしたりというケースもありますが、毎日満員電車に揺られながら通塾することにストレスを感じてしまう生徒もいました。オンラインであれば勉強時間が十分確保できるうえ、自宅で保護者の方に食事や洗濯など身のまわりのサポートをしてもらいながら、慣れ親しんだ環境で勉強に専念することができます。

--オンラインでの受験勉強には、どのようなタイプの学生が向いていますか。

 オンラインでの受験勉強に向いているのは、自分で日々の学習計画を考え、黙々と勉強に励みたいタイプです。移動に時間も体力も奪われない分、より多くの勉強量をこなすことができます。周りの目がなくても、自分を律して決められた時間に机に向かい、やるべきことをきちんとこなせるかどうか。一方で、一日中家にこもりがちな分、自分で気分転換や息抜きをすることも必要です。そうやって自分で日々の生活を組み立てて行動できる力が求められると思います。

医学部合格者の共通点は「当たり前のことを当たり前にできる」こと

--医学部合格者にはどういった共通点がみられますか。

 ずばり、謙虚さです。これは、受験全般において大切な資質です。勉強しても成果が出ないとき、その現実を真摯に受け止め、何が足りないかを分析し、駿台であれば講師や担任からのアドバイスにも素直に耳を傾けながら、改善策を実行していく。至って当たり前のことなのですが、実はこの当たり前のことができない人のほうが多いのです。

 とりわけ、医学部を目指す=医師という職業を選ぶわけですから、なぜ、そしてどんな医師になりたいのか、どうすればより良い医療を提供できるかなどを常日頃考えなければなりません。合格自体を目標にするというより、合格した先を見据えることが受験勉強にも良い影響を与えます。こうして自分と向き合うことが、合格にも結びついているのだと思います。

医学部合格者の共通点は「謙虚さ」と語ってくれた

--最後に、医学部の受験生に向けて、メッセージをお願いします。

 今日ご紹介したように、医学部受験はタイトなスケジュールで勉強量が多く、限られた時間の中で優先順位を付けて効率的に進めていかなければいけません。うまくいかないときは自分のやり方に固執せず、素直で謙虚になってみること。そんな姿勢を意識しながら、自分がこれまでやってきたことを信じて、最後まであきらめずに頑張ってください。

--ありがとうございました。


プロのサポートを活用し、効率の良い受験勉強を

 医学部合格に必要なのは、計画性、実行力、振り返り、つまりPDCA(Plan・Do・Check・Action)だと強く感じた取材だった。これは、医学部に合格したあとも生涯学び続ける医師という職業には欠かせないスキルだろう。こうしたスキルを身に付けるため、駿台では対面・オンラインとも学生ひとりひとりに寄り添う細やかなサポートを実施している。入試まで残り1か月。プロのサポートをうまく活用しつつ、過密スケジュールを乗り切り、春の訪れとともに医師へのスタートラインに立ってほしい。

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《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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