【医学部受験2025】選び方次第で合格率ゼロに…共通テスト後の出願校選び8つのカギ 

 国公立医学部を目指す場合、出願校の選び方次第で合格率が大きく変わる。数多くの医学部進学者を輩出している医学部専門予備校エースアカデミーの代表・高梨裕介氏に話を聞いた。

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インタビューに応じてくれた医学部専門予備校・エースアカデミー代表の高梨裕介氏
インタビューに応じてくれた医学部専門予備校・エースアカデミー代表の高梨裕介氏 全 5 枚 拡大写真

 大学入学共通テスト(以下、共通テスト)が終わった。受験生は自己採点を終え、悲喜交々といったところだろう。しかし、国公立医学部を目指す場合はここからが正念場。出願校の選び方次第で合格率が大きく変わってくるからだ。

 たった1つの校舎から、2024年度入試で医学部進学者数127名、うち国公立医学部には44名を輩出した医学部専門予備校・エースアカデミー。代表を務め、自身も医師である高梨裕介氏に、出願校選びがなぜ重要なのか、何が合否を分けるのかについて話を聞いた。

国公立医学部の合否は出願時に決まる

--医学部に合格することは、医師を目指す受験生にとって唯一最大の目標といっても過言ではありません。とりわけ国公立大学は、学費の面で保護者にとっても魅力的です。では、国公立大学の医学部に合格するためにはどうしたら良いのでしょうか。

 これは受験生やその保護者からよく聞かれる質問です。最大の決め手は共通テスト後の「出願校選び」です。

 エースアカデミーでは、共通テストと模試の成績から、全国の国公立50大学について、生徒ひとりひとりの合格確率を算出し、推奨校を提示しています。これにより、全50校の合格の可能性が明確に見える状態になります。熱望する大学があったとしても、もし合格率が0%と出てしまったら、残念ながらそこに合格することはほぼ不可能です。ただし、違う大学であればまだ合格できる可能性があります。

 たとえば、関東圏の受験生が筑波大学や横浜市立大学を志望していたとしましょう。仮にこれらの合格率が0%と算出された生徒でも、全国へ広く目を向ければ、富山大学や弘前大学なら30%といった具合に、合格の可能性のある大学が具体的に見えてきます。

つまり、その受験生のデータをしっかりと分析し、論理的に合格の可能性が少しでも高い大学を選ぶこと。これが如実に合否を分けるということです。出願校選びはそれだけ慎重に行う必要があるのです。

--せっかく目指してきた第一志望であっても、合格率が0%だと個別試験での逆転合格には一縷の望みもないということでしょうか。

 厳しいですが、それが現実です。個別試験次第で挽回できるという人もいますが、もしそのための過去問対策や面接・小論文指導が本当に有効なら、逆転合格はもっと頻繁に起きても良いはずです。しかし実際には、入試の結果は出願時の判定通りなのです。

 ところが多くの受験生は、合格率ゼロの第一志望以外に合格の可能性がある大学がデータとして出ているにもかかわらず、これを冷静に精査せずに初志貫徹をしようとします。第一志望とはいえ合格率ゼロですから、当然結果は不合格です。エースアカデミーにも毎年、こうした間違った出願の結果、不合格になって浪人する生徒が何人も入学してきますが、これは非常にもったいないことだと思います。

 国公立医学部は、出願校の選び方次第で合格率がゼロになる。つまり、国公立医学部の合否は出願時に決まるといって良いのです。医学部を目指す受験生も保護者も、このセオリーをしっかりと理解しておく必要があります。

取材に応じてくれたエースアカデミー代表の高梨裕介氏

選び方次第で、偏差値50台でも合格できる

--正しい選び方をするとどのように結果に結びつくのでしょうか。

 エースアカデミーからは2024年度には医学部に127名、うち国公立医学部には44名が進学しています。ちなみにこれは重複合格を含んでおらず、進学した生徒の数です。

 一般的に、医学部に合格するには高い偏差値が必要といわれますが、実は偏差値が60未満でも悲観する必要はありません。エースアカデミーでは、昨年は最終偏差値が50台のE判定から26名が医学部に合格、国公立医学部にも6名合格しています。

 一例をあげると、5月の全統模試で偏差値49、12月の最後の全統模試でも57だった生徒が国公立医学部の弘前大学に合格しました。この生徒の場合、国公立50大学の多くが合格率0%という結果でしたが、限られた推奨校の中から、低いながらも合格の可能性がいちばんある出願先を選んだからこそ勝ち取れた合格で、本人も保護者も驚くほどでした。

--出願校をどう選ぶかが合否の分かれ目だということですが、実際にはどのくらいのレベルまで合格できるものなのでしょうか。

 「共通テストの得点率」と「12月最後の全統模試の偏差値」との組み合わせによって、合格の可能性がある推奨校の数は変わってきます。あくまでも昨年のデータですが、我々が算出した結果では、共通テストの得点率が75%を下回り、かつ偏差値が60に満たない(=個別試験を戦える学力が不十分)と推奨校はゼロ。つまり、厳しい言い方になりますが「合格の可能性はゼロ」ということです。

 もう少し詳しくみてみましょう。ここに、2024年度の実データから、共通テストと12月最後の全統模試の偏差値による国公立医学部の判定事例をまとめてみました。

共通テストと偏差値による国立医学部の判定例(2024年度の実データより)


共通テストの結果が80%だった場合

▶️最後の河合塾全統模試の偏差値65

 A,B判定:なし
 C判定:4校
 D判定:29校
 E判定:8校
 推奨外:9校

▶️最後の河合塾全統模試の偏差値60

 A,B,C判定:なし
 D判定:7校
 E判定:24校
 推奨外:19校以上

▶️最後の河合塾全統模試の偏差値55

 D判定:1校
 E判定:6校
 推奨外:40校以上


共通テストの結果が75%だった場合

▶️最後の河合塾全統模試の偏差値65

 A,B,C判定:なし
 D判定:1校
 E判定:27校
 推奨外:20校以上

▶️最後の河合塾全統模試の偏差値60以下

 推奨校なし


 昨年は一昨年に比べて共通テストの平均点がやや上がった年で、昨年の結果に限っていえば、「80%得点できていれば、12月の最終偏差値が50台でも出願先次第で合格の可能性が見えてくる」ということがわかります。一方で、得点率が75%に下がると、偏差値が50台では推奨校はゼロ。偏差値が65あってもD判定が1校のみです。つまり75%だと、偏差値70前後の高い学力がない限り、ほとんどの大学が推奨外となってしまうのです。

 先ほど紹介した最終偏差値50台から合格した生徒は、コツコツと基礎学習を積み上げることで直前まで伸び続け、共通テスト本番では8割近くを取り、推奨校として候補にあがった弘前大学に出願し、合格しました。データに基づく出願戦略で、データどおりに合格したというわけです。

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出願校選びで陥りがちな「8つのミス」

--「毎年誤った出願校選びをする受験生が後を絶たない」とのことですが、医学部を目指す受験生やその保護者は出願の際にどのようなミスに陥りがちなのでしょうか。

 国公立医学部の出願校選びに際して、誤った思い込みによる致命的なミスは、次の8つです。

1. 第1志望にこだわり、気合いで合格しようとする

 ここまでお話してきたとおり、データから冷静に判定すると合格の可能性がまったくないにも関わらず、本人や保護者が第1志望を諦めきれないケースは非常に多いです。何度もオープンキャンパスに行ったから、学校の先生が強く勧めるから、憧れの先輩がいるからなどといった理由で特攻しても、合格できる可能性はほぼゼロです。

2.「第1段階選抜(足切り)がない」大学を選ぶ

 共通テストがうまくいかず「足切り」にあう可能性が高まると、どうにかしてそれを避けようとするものです。この点については特に保護者の間で誤解が多く、毎年のように「足切りにあわない大学を教えてください」という相談を受けます。しかし、たいてい足切りのない大学ほど偏差値が高く、とりわけ高い学力が求められるため、単なる記念受験で終わってしまうことがほとんどです。

3.「得意科目」にこだわりすぎて「全体の配点」を無視する

 入試は1科目だけでは決まりません。これもあたり前のことなのですが、「全体の配点」を無視して「得意科目」に頼ろうとすると、かえって合格のチャンスが遠のくことがあります。

 たとえば語学資格を優遇してくれる大学の中に広島大学がありますが、広島大学は1次(共通テスト):2次(個別試験)=5:9の配点比率。具体的には、共通テストが6教科7科目で1,000点、個別試験が3教科1,800点で、あわせて2,800点満点です。このことから計算すると、仮に英語が得意で、英検など検定試験の結果を生かして共通テストで満点換算できたとしても、全体ではたったの7%程度にしかならず、そこまで大きなアドバンテージにはなりません。

 あくまでも重要なのは総合力です。共通テスト全科目の合計点とこれまでの模試の結果を総合的に分析し、それに見合った受験校を洗い出したうえで、その中から出願先を選ぶべきなのです。

4.「個別試験(2次試験)の比率が高い大学」で逆転しようとする

 共通テストで思うような点数が取れなかった場合、個別試験の比率が高い大学に出願し、そこで挽回して逆転合格を狙おうとするのもよくある失敗です。ところが実際には、偏差値が高い大学ほど個別試験の比率が高いのです。個別試験の比率が高くても、自分の持ち偏差値より高い大学に挑んで合格するケースはほとんど見たことがありません。

 一方で、共通テストの比率が高いのはおもに地方の国公立大学に多いですが、仮に共通テストで伸び悩んでも、こうした個別試験の比率の低い大学に合格するケースは毎年たくさんあります。つまり、個別試験での逆転合格というのは、自分の持ち偏差値より低い大学でない限り成立しないのです。

5.「倍率が低い=受かりやすい」という安直な判断をする

 足切りの多くは志願者が非常に多い場合に実施されますが、だからといって「倍率が低い=受かりやすい」ではありません。わかりやすくいうと、倍率が4~5倍であったとしても偏差値が50台であれば実はそこまで難しくはない一方で、倍率が2倍でも偏差値が70台だとかなりハイレベルな厳しい競争になります。

6.過去問との「相性」だけで選ぶ

 実に多くの受験生が「出願校は過去問との相性を見て決めなさい」というアドバイスを受けているようですが、これも誤りです。

 一般的に、総合大学の医学部は他学部との共通問題が多く、オーソドックスで解きやすい一方、医科単科大学では独自に作問されるため、総合大学に比べて得点しにくい難問が出題される傾向にあります。

 たとえば、筑波大学と浜松医科大学の過去問を解けば、ほぼ全員が「筑波大学のほうが相性が良い」と答えるわけですが、そこで安易に筑波大に出願し、不合格になるケースが非常に多いのです。筑波大はひと口に「解きやすい」といっても、受験者のレベル自体が高いので、相当の高得点を取って勝ち残らない限り、合格することは困難です。ところが浜松医科大は、問題自体は難しくても、受験者のレベルは筑波大よりは下がるので、過去問であまり手応えが良くなくても合格できる可能性は高くなります。

 つまり、問題の解きやすさや相性は、出願校選びの指標にしてはいけないのです。

7.「合格最低点」をクリアしているかどうかで判断してしまう

 「過去問で合格最低点をクリアできればその大学は合格確実」と思いたいところですが、合格最低点は毎年変わるため、今年も同じレベルになる保証はありません。そもそも、受験生の多くが取り組んでいる過去問では採点基準がわからないうえ、自己採点も甘くなりがちで、正しい採点は不可能です。たとえば、偏差値が高いわりに合格最低点が低い大学というのは、採点基準が厳しい場合が多いです。

8.全国の国公立医学部50校から選んでいない

 これがもっとも致命的なミスといって良いでしょう。たとえば首都圏在住であれば、東京科学大(旧:東京医科歯科大)、千葉大、筑波大、横浜市立大あたりを第1志望にしている受験生が多く、それだけに毎年いずれも狭き門となっています。こうしたところは共通テストでもかなりの高得点勝負になりますが、仮に思うような点数が取れなかったとしても、全国の50大学に視野を広げれば、合格する可能性は見出せます。

 我々が毎年この時期に実施しているのは、1次試験:2次試験の配点に加え、1次試験と2次試験それぞれの科目ごとの配点を緻密に計算し、50大学すべての合格可能性を示すデータです。この結果、首都圏近郊が無理でも、全国から少しでも合格の可能性が高い大学を選べば、決してあきらめる必要はないのです。

「選び方次第で合格率がゼロになってしまう」と語る高梨氏

「推奨校なし」の場合にすべきこと

--全国50大学のデータ判定の結果、1校も「推奨校」が出なかった場合はどうすれば良いのでしょうか。

 推奨校が1校も出なかった場合、国公立大学に関しては合格する可能性がゼロということですから、辛いとは思いますが、まずはその現実を真摯に受け止めてください。

 先ほど述べたように、ここでいちばんやってはいけないのは、判定結果を無視して第一志望に固執し、最後には「気合いだ」などと言って強硬に出願することです。合格の可能性がゼロで、記念受験にしかならない大学のために、個別試験までさらに約1か月間も費やすのは貴重な時間を無駄にするだけです。ここからは私立医学部の受験に専念し、集中してしっかりと基礎固めを行うことが大切です。

 国公立大学専願の場合は、厳しい言い方ですが、今年度は医学部を受験するうえで「箸にも棒にもかからない」状態ということです。ですからここは潔く、来年度に向けて気持ちを切り替えることをお勧めします。

 というのも、共通テストが終わった時点で、すでに来年の共通テストまで1年を切っているからです。合格の可能性がゼロの医学部を記念受験し、全敗したところから4月にスタートすると、実はあと9か月半しかありません。1月から4月までは非常に大事な時間です。

 エースアカデミーのカリキュラムなら、この3か月間で数学、英語、理科の全範囲を2周終えられるので、浪人生として幸先の良いスタートが切れます。ここで培った基礎力は夏の模試の結果に早くも現れ、そのあとも勢いに乗って医学部合格にグッと近づけるのです。

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--最後に、あらためて受験生に向けてメッセージをお願いします。

 繰り返しになりますが、データをもとに、合格の可能性がある大学を正しく選べるかが合否の分かれ目です。医学部を目指し、小学校、中学校から何年間も努力してきたとしても、出願校選びを間違えば、叶うはずの「医学部合格」の夢を自ら遠ざけてしまうことになります。せっかくの努力を無駄にしないように、全国50大学の中から合格の可能性がもっとも高い大学に出願しましょう。

 エースアカデミーの生徒には、50大学すべての判定結果をお伝えしたうえで、推奨する判定の中から生徒本人の希望を聞き、国公立大学の出願校を決定しています。このように国公立医学部の出願選びに、塾としても非常に力を入れています。

 当塾にお通いでない方にも、無料の判定キャンペーンを実施しています。共通テストの自己採点と模試の成績をフォームに入力していただくことで、その情報を分析し、無料で50大学の判定をご返信します。詳細な情報提供や出願選びのサポートは生徒限定となりますが、こちらの無料の判定データも出願先選びのお役に立てると思いますので、下記のボタンからお申込みください。

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--ありがとうございました。


 エースアカデミーでは、2024年に2冊の書籍を出版した。7月発行の『医学部受験分析ノート: 医学部受験バイブル』も、10月発行の『勉強法の大原則: 医学部受験バイブル』も、高梨氏のほか現在医学部に在籍するエースアカデミーOGも執筆した、医学部合格を目指す受験生必携の内容だ。ぜひ手に取ってみてほしい。

 医学部を目指す受験生にとってのゴールは、言うまでもなく医師になることだろう。だからこそ、誤った出願校選び、そのたった1つの選択で、医師になるというゴールが遠のいてしまうのだとしたら、非常にもったいない。データをもとに冷静な判断で出願先を決めることで、その道をしっかりとたぐり寄せることができるのだ。

 エースアカデミーでは、この方法で偏差値50台でも医学部に合格した実績があるのも心強い。医師を志す受験生や保護者の方には、本記事を参考に、夢の実現に向けて着実に進んでほしい。


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《中村真帆》

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