花まるグループは2026年4月より、あそびを通して子供の「考える力」を育てる新講座「算数脳ラボ」を開校する。ブロックやパズルなどを用いて数理的思考力を体系的に育むプログラムで、教材開発などにあたり、数理思考教育の第一人者である井本陽久氏が顧問に就任したことを発表した。
同グループが提唱する「算数脳」とは、単なる計算力ではなく、「考える力そのもの」を育てるための力であるとしている。ものごとの本質を見抜き、論理的に考え、柔軟に発想するという「思考の3要素」をあそびの中で鍛えることを目的とする。具体的には、(1)図形や数量をイメージし、目に見えない構造や関係を捉える「見える力」、(2)筋道を立てて考え抜き、最後までやり切る「詰める力(論理的思考力)」、(3)発想を広げ、別解や新しい視点を楽しむ「あそぶ力(柔軟な思考力)」の3つの力を総合的に育てることで、「考えることを楽しむ脳」をつくるとしている。
新講座「算数脳ラボ」は、花まるグループが長年培ってきた算数脳の体系を生かし、ブロックやパズル、カードゲームを用いて数理的思考力を鍛える講座。ゲームやパズルで競いあう中で、意欲的に考え抜く力を育む。一見、大人でも考え込むような難度の高い問題にも挑戦するが、定義や公式を駆使するのではなく、その原理を探究する力を養う。また、問題を解くだけでなく、子供たち自らが解法を解説したり、問題を作って互いに解きあったりすることで、より深く考え、相手を想像するようになり、人間関係を築く力を伸ばすという。
今回、顧問に就任した井本陽久氏は、栄光学園中学校・高等学校で20年以上にわたりアクティブラーニング型の数学教育を実践してきた教育者。2016年に設立した「いもいも」では、数学の枠を超えて子供たちの思考力と創造性を育む授業を展開している。花まるグループは井本氏とともに、あそびながら考える力を磨く新しい数理思考教育を推進していく。なお、井本氏はこれまで通り「いもいも」代表として活動を続けながら、同講座には外部顧問として参画する。
顧問就任にあたり、井本氏は「私はこれまで、栄光学園や『いもいも』での授業を通して、子どもたちの中にある『ものごとの構造を見抜き、筋道立てて考え、柔軟に発想する力=数理的思考力』をどう育んでいくかを探究してきました。今回、花まる学習会の外部顧問として、その知見を花まるグループが大切にしてこられた『生きる力』『考える力』を育む教育と重ね合わせながら、子どもたちが“考えることそのもの”を好きになっていく場づくりにご一緒できることを光栄に思っています」とコメントしている。
花まるグループ(こうゆう)代表の高濱正伸氏は、「AI革命で先行き不透明な今、次の時代を背負って立つ子どもたちに、私たちは何を授けたら良いだろうか。それは『日本人の強みは何だろう』という問いから始めるべきであり、私は『数理思考力』を挙げる。江戸時代の算額・和算・塵劫記を起源とする数理思考力は、我々の見落としがちな強みだ。フィールズ賞や物理・数学のノーベル賞の多さにも現れている。元々花まる学習会は、そこにこそ焦点を当て『計算力より思考力』と標榜してスタートしたし、私も算数オリンピックには長く関わってきた。また、アルゴクラブは数理思考力により特化した教室として生まれたものだった。今回、花まるグループは、現代の数学指導の頂点に立つ井本先生の協力も得て、最先端の数理思考力教室を世に問うことにした。期待していただきたい」と述べている。

