新学習指導要領の外国語教育、保護者4割が賛成も教師は異論

 2020年度から小学3・4年生で「外国語活動が前倒し」、小学5・6年生で「外国語が教科化」することについて、保護者の4割以上が「良いこと」と回答したが、教師は異論を唱えていることが、ジャストシステムが提供する「スマイルゼミ」の調査により明らかになった。

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【教師編】「新学習指導要領」による負荷
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 2020年度から小学3・4年生で「外国語(英語)活動」が前倒し、小学5・6年生で「外国語が教科化」することについて、保護者の4割以上が「良いこと」と回答したが、教師は異論を唱えていることが、ジャストシステムが提供する「スマイルゼミ」の調査により明らかになった。

 「新学習指導要領に関する教師、保護者の意識調査」は、公立小学校でクラス担任をしている、管理職を除いた教師250名と、2017年4月より小学1~4年生になる児童の母親1,116名を対象に実施したもの。教師編は3月15日~20日、保護者編は3月14日~18日に、ジャストシステムのセルフ型ネットリサーチ「Fastask」によるアンケート調査を行った。

 新学習指導要領の改訂により小学校での外国語活動が大きく変わることに対して、保護者の41.3%が「英語を教える教師の英語力」が最大の懸念点と回答。将来、外国語の授業をする可能性がある教師のうち、新学習指導要領で求められる外国語授業の実践に、「自信がない」と答えた教師が75.2%にのぼった。

 教師の英語力は、「初歩的な単語やフレーズが言える」35.6%がもっとも多く、「単語や定型句を並べてコミュニケーションがとれる」27.5%、「自信がない」20.7%、日常会話以上の英語力を有する教師は16.3%だった。また、教師が取得している英検の級は「3級」28.8%が最多。「3級以下」は41.9%、未取得者は36.5%だった。一方、保護者の10.5%は小学校卒業時までに「英検3級」を取得させたいと望んでいた。

 新学習指導要領の外国語教育方針に、「外国語(英語)は年齢が小さいときから取り組んだほうが良いので、改訂は良いこと」と41.1%の保護者が回答した。一方で教師は、「現行のまま(小学5・6年生での外国語活動)でよかったのではないかと思う」が35.1%、「外国語よりも国語(自国語)の教育を充実させたほうがよい」33.3%と、保護者と教師で意見が分かれている。

 2020年度から小学5・6年生に対し「外国語の教科化(成績がつく)」ことについて、保護者の55.8%が「賛成」、教師の62.1%が「反対」と回答。小学3・4年生に対し「外国語活動が必修化」されることについて、保護者の60.0%が「賛成」、教師の58.1%が「反対」と回答した。

 新学習指導要領の改訂により学習量・授業料とも増えることについて、95.5%の教師が「教師にとって負担が高い」と考えていた。負担が高い改訂内容は、「小学3・4年生で外国語活動が前倒し、小学5・6年生で外国語が教科化」をあげる教師が34.9%ともっとも多く、「道徳が特別の教科化」30.2%、「プログラミング教育の必修化」12.3%が続いた。

 外国語授業の実践にあたり不安を感じていることは、55.0%の教師が「発音」と回答した。ほかには「文法力」54.5%、「語彙力」49.1%があがった。外国語授業の実践するために、「英語選任教師の配置」を望む教師が53.6%。また、「ALT(Assistant Language Teacher)の増員」や「授業づくりに役立つ教材などの提供」などもあがった。また、外国語授業の時間確保のためには「朝学習などの短時間学習で取り組む(ユニット授業)」や「教科横断型の授業」をあげる教師が多かった。

《外岡紘代》

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