私大生の仕送り額は過去最低8万2,400円…東京私大教連

 2020年度に首都圏の私立大学に入学した自宅外通学者への仕送り額は、過去最低の月額8万2,400円だったことが2021年4月5日、東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)の調査結果からわかった。仕送り額から家賃を除いた1日あたりの生活費も607円と過去最低であった。

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「6月以降の仕送り額(月平均)」の推移
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 2020年度に首都圏の私立大学に入学した自宅外通学者への仕送り額は、過去最低の月額8万2,400円だったことが2021年4月5日、東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)の調査結果からわかった。仕送り額から家賃を除いた1日あたりの生活費も607円と過去最低であった。

 「私立大学新入生の家計負担調査2020年度」は、2020年4月に首都圏1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)にある9校の私立大学(短大を含む)に入学した新入生の家計負担の状況をまとめたもの。調査期間は、2020年5~7月。有効回答数は5,382件。

 「受験から入学までの費用」は、自宅外通学者は220万1,023円と前年度より4,300円減少したが、自宅通学者は159万8,523円と前年度より1万700円増え、過去最高額となった。「受験から入学までの費用」の内訳では、「受験費用」は自宅外通学者が前年度比1万8,700円減少、自宅通学者が前年度比1万700円増加。自宅外通学者の「家賃」は800円、「敷金・礼金」は1万5,500円増加した。

 「入学の年にかかる費用」では、自宅外通学者は295万5,623円と前年度より4万2,200円減少した。自宅外通学者世帯の「税込収入に占める『入学の年にかかる費用』」の割合は31.9%。自宅外通学者世帯の税込年収平均927万5,000円の3割を占め、依然として重い負担となっている。

 「仕送り額」の平均は、入学直後の新生活や教材の準備で出費がかさむ「5月」が前年度比8,800円減の8万8,900円と、初めて9万円を割り込み、1986年度の集計開始以来、過去最低を記録した。出費が落ち着く「6月以降(月平均)」は8万2,400円。これまで過去最低であった2018年度より700円減少し、過去最低となった。「6月以降(月平均)」の仕送り額として過去最高だった1994年の12万4,900円と比較すると、4万2,500円(34.0%)も減少している。

 「6月以降(月平均)」の仕送り額から「家賃」を除いた生活費は1万8,200円。1日あたりの生活費を算出すると607円となり、これまで過去最低であった2018年度の677円からさらに70円減少し、過去最低を更新した。

 また、自宅外通学者の3割近くの仕送り額は無回答だった。コロナ禍で遠隔授業となったことから、学生が自宅で授業を受けているため仕送りしていない家庭が一定数あることが父母の声からも推測されるという。

 学費などの「入学に必要な費用」を借入れした家庭は17.4%。「借入れあり」を住居別でみると、「自宅外通学」27.2%、「自宅通学」20.5%と、自宅外通学者のほうが高い傾向にある。入学費用を借入れした家庭の借入額の全体平均は、前年度比13万1,000円減の180万9,000円。住居別の借入額の平均は、自宅外通学者215万7,000円、自宅通学者158万3,000円であった。

 受験から入学までの費用の「負担感」については、92.2%の家庭が「重い」と回答。入学費用を借入れした家庭に限ると、99.4%が「重い」と感じており、住居別では自宅外通学者の93.9%の家庭が「重い」と感じている実態にあった。

 東京私大教連では、「私立大学への補助があまりにも少ないため、私立大学の学費は高く、日本は諸外国と比べて家計負担が非常に大きい国になっている」と指摘。「とくにコロナ禍は、学費負担の重い私立大学生に極めて深刻な影響を及ぼしている。保護者の家計や学生のアルバイトが打撃を受け、私立大学の高すぎる学費のもとで、各家庭の教育費負担は限界に達している。国による私立大学生への経済的支援が急務」としている。調査結果も活用して5月から、私立大学生の学費負担の大幅な軽減などを求める国会請願署名運動に取り組んでいくという。

《奥山直美》

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