【中学受験の塾選び】SAPIXの特徴と費用(2022年度版)

 「中学受験の塾選び」をテーマに、首都圏で人気の大手3塾について、特徴や費用、カリキュラム、コロナ禍の対応等を紹介する。今回はサピックス小学部(SAPIX)について見ていこう。

教育・受験 小学生
SAPIX小学部
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 「中学受験の塾選び」をテーマに、首都圏で人気の大手3塾について、特徴や費用、カリキュラム、コロナ禍の対応等を紹介する。今回はサピックス小学部(SAPIX)について見ていこう。

サピックス小学部の指導の特徴



 サピックスは、事前の準備や予習の必要のない塾です。授業中に初めて見る問題をその場で考えることを重視しています。実際の入学試験でもどのような問題が出るかはわかりません。今まで学習した内容を元にどのように考えるかが非常に大切です。子供たちは、多くのことを短時間で吸収します。ただし、その都度確認して定着しないと真の学力にはなりません。そのため授業の復習をすることをもっとも重視しています。授業中は、講師の発問を子供たちがさまざまな観点から積極的に発言します。積極的に自分の考えを発表する「討論式授業」で、思考力を伸ばします。昨今の入試ではどの教科でも自分の考えを自分の言葉で表現する「記述表現力」が重視されています。そのため、低学年時より長文をみんなで読み、さまざまな文章を書き、講師が添削することを大切にしています。授業は、比較的少人数の学力別のクラスで実施しています。そのため、現時点での学力に基づいた適切なクラスで受講ができ、6年生では志望校別のクラスも加わりコース編成、生徒ひとりひとりの志望校合格に向けて、きめ細かな指導を行っています。

入塾の時期



 本格的な受験カリキュラムが始まる新4年生(=3年生の2月)から、入室する人がもっとも多いです。既出の単元も繰り返し学べるようにカリキュラムを構成しているため、それ以降の入室も可能です。どの教科であっても基礎知識として覚えるべきことがらはありますし、理科や社会は学習する分野(単元)も多くなっています。そのようなことも考慮したうえで、無理なく学習が進められる時期を、ご家庭でご判断いただけるとよいかと思います。

 また、学習習慣や学習姿勢等は受験勉強を始めた(塾に通い始めた)途端に身に付くものではありません。塾に慣れたり、学習に興味を持ったり、学ぶことが楽しいと思ったり、というようなベースの部分を身に付けるために、低学年から塾に通う人も少なくはありません。低学年から塾に通う人は、じっくりと育んだ知的好奇心や粘り強く取り組む姿勢が中学受験において強みを発揮しています。

入塾前テストの有無



 月1回程度「入室テスト」(受験料3,300円・税込)を実施しています。テストの結果は1週間程度でお知らせします。入室基準に達した人は入室することができます。

 入室後の授業開始は、原則として翌月上旬からとなります。ただし、現在、多くの校舎や学年で定員に達しています。校舎状況に変更がある場合(定員の増加等)には、募集を再開する可能性があります。再開時期等の詳細については、決まり次第、Webサイトにて通知します。

年間にかかる費用とカリキュラム



 1年生は約22万円、2年生は約26万円、3年生は約34万円、4年生は約60万円、5年生は約75万円、6年生は約137万円(いずれも消費税込み)です。

 なお、費用には、授業の一環として実施するテスト費用、授業中に配布するテキスト・プリント等の教材費、冷暖房費等がすべて含まれます。

 カリキュラムについては、SAPIXのWebサイトで確認できます。

クラス分け



 1コース(=クラス)15~20人程度で、学力別のコース編成になっています。コース分けやコースの昇降にかかわるテストは、1~3年生で約2か月に1回、4~6年生では約1か月に1回実施します。

 また、6年生で実施する志望校別のコースについては、通塾している生徒(家庭)に事前に志望校調査を行ったうえで、コースを編成していきます。希望する学校のコースがない場合でも、出題傾向が類似する学校のコースで学習を進めながら、十分なフォローアップをしますので、心配はいりません。

通塾の頻度と時間帯



 1~3年生は週1回、4年生は週2回、5年生は週3回、6年生前期は週3回、6年生後期は週4回。

・1年生:平日午後4時~5時30分もしくは土曜日(午後1時30分~3時または午後4時~5時30分)
・2年生:平日午後4時20分~6時もしくは土曜日(午後1時~2時40分または午後4時20分~6時)
・3年生:平日午後4時30分~6時30分もしくは土曜日(午後0時30分~2時30分または午後4時30分~6時30分)
・4年生:午後5時~8時
・5年生:午後5時~8時
・6年生:平日午後5時~9時および土曜日午後2時~7時

 なお、1~3年生の土曜日の授業は、校舎によって設置状況が異なります。関西校舎では、一部授業時間帯等が異なります。

授業以外のサポート



 すべての教科の基本となり、難関中学入試で必要とされる「読解力」「記述表現力」を磨くため、専門指導員による記述添削指導「てんさく教室」を月に1回程度、全学年で実施しています。ひとりひとりの考え方や個性を尊重しながら、他者に伝わる文章を書く力を育成していきます。

 保護者に対しては、年に3~4回開催する保護者会で現在の学習状況や学習目標を、6年生の個別面談(2回)では学習相談や志望校決定に向けたアドバイスを、担当講師から伝えしています。なお、学習相談や面談は、これ以外でも希望によって随時行っています。

塾のコロナ対応



 対面での授業を実施する場合、教職員は必ず不織布マスクを着用し、こまめに手洗いや手指の消毒を行います。また、職員には検温等による健康観察等を義務づけ、少しでも体調に問題がある場合には勤務を控えます。各教室は、機械換気の常時作動とあわせてサーキュレーターを設置し、授業中も含め教室内の換気を促進している他、多くの生徒・職員が触れる場所はこまめに消毒します。生徒には来校前の検温を必須とし、手洗いや手指の消毒、マスク(不織布推奨)の着用等の他、密を回避するための行動等、感染予防対策への協力を依頼しています(保護者も準じます)。

 対面授業の継続が困難となった場合には、オンラインでの授業(ライブ配信含む)に切り替えます。

 いずれの場合も、ポイント解説動画および学習アドバイスの配信、オンラインツールを使用した案添削指導の他、メールやZoom・電話等での質問対応を行っています(学年や教科の特性等により対応は異なります)。

 保護者会や個別面談、説明会等のイベントに関しても、状況に応じてオンラインでの実施(開催)に切り替える、あるいはオンラインを併用する等、社会情勢に応じて迅速に対応しています。

 なお、今後の状況によっては異なる対応をすることもあります。

コロナ禍の中学受験について



 コロナ禍が原因かはわかりませんが、生徒数の増加傾向は続いています。特に都心部では募集定員に達し、一部学年で入室テスト受験を打ち切らざるを得ない校舎が続出しました。

 志望校選びについても、コロナの前と後で大きな変化はありません。学校を直接見に行く機会が減ったためか、成績(偏差値)で選ぼうとする家庭が以前よりは見受けられます。しかし、多くの家庭では、進学実績や学校の教育方針、本人の希望等を踏まえた志望校選択をしています。

 特に最近は都心部・湾岸部の人口増加があり、このエリアは伝統的に中学受験率が高いので、都心部の学校の志願者増が目立ちました。安全志向が強いので、トップ校よりも中堅の伝統校、海外留学や進学を鑑みグローバル教育を重視する学校の増加が目立ちます。

《工藤めぐみ》

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