規則正しい生活、心の健康・成績と関連…早大とベネッセ

 ベネッセ教育総合研究所と早稲田大学柴田重信研究室は、「子供の生活リズムと健康・学習習慣に関する調査」を実施。規則正しい生活は、精神的な健康状態や成績に関連があることが明らかになった。

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 ベネッセ教育総合研究所と早稲田大学柴田重信研究室は、「子供の生活リズムと健康・学習習慣に関する調査」を実施。規則正しい生活は、精神的な健康状態や成績に関連があることが明らかになった。

 同調査は、コロナ禍における子供たちの生活習慣の状況を調べることを目的に、ベネッセ教育総合研究所と早稲田大学 理工学術院 柴田重信研究室との共同調査にて、2021年6月全国の小学4年生~高校3年生(学年ごとに男性515名、女性515名の計1,030名)の合計9,270人を対象に行った。

 睡眠時間について調査したところ、学年が上がるにつれて睡眠時間が減少しているだけでなく、生活リズムの夜型化や、平日と休日の生活時間のズレ(社会的時差ボケの発生)が大きくなる傾向がみられることがわかった。

 特に高校3年生は、平日の睡眠時間は平均6時間36分であるが、休日は8時間以上寝ていた。平日にたまった睡眠不足を、休日に寝だめして解消しているようすがうかがえる結果となった。

 スクリーンタイム(スマートフォン、パソコン、タブレット、テレビ、ゲーム等の画面を見る時間)について調査したところ、就寝前のスクリーンタイムは、学年が上がるにつれて増える傾向があることが明らかになった。

 夜寝る前にスクリーンタイムがあると答えた子供は、ないと答えた子供に比べて「疲れやすい」「昼間に眠くなる」と答えた割合が高く、就寝前のスクリーンタイムは睡眠の妨げになるだけでなく、日中の活動にも影響していると考えられる。

 また、朝食の欠食について調査したところ、毎日朝食を食べない子供は学年が上がるごとに増加し、高校3年生では毎日食べる子供は全体の74.7%まで低下していることがわかった。

 次に、これらの睡眠習慣や寝る前のスクリーンタイム、食習慣等が学校の成績と関連があるか比較した。その結果、どの学年においても成績が上位層の子供は、日頃から規則正しい睡眠や食事があると回答し、寝る前のスクリーンタイムも少ないことがわかった。

 睡眠習慣について、特に成績が上位の子供は早寝・早起きであることがわかった。高校生の成績上位層と下位層では、休日の起床時刻に30分の違いがみられ、その結果平日と休日の生活リズムのズレ(社会的時差ボケ)は、成績上位層ほど小さく、規則正しい生活をしていることがわかった。

 食習慣について、成績上位層の子供は、下位層の子供に比べて朝食欠食率が少ないことがわかった。また、普段の食事内容についても、上位層の子供ほどバランスの良い食事を摂る、野菜をよく食べる、食事中に噛む回数が多い、といった基本的な食習慣が身についていることがわかった。

 以上の調査結果より、睡眠や食習慣等と、精神的な健康や学業成績との関連が明らかになった。規則正しい生活習慣の獲得には、より低学年での習慣化が重要な要素になってくる。ベネッセ教育総合研究所と早稲田大学柴田重信研究室では、今回の調査結果を踏まえ、今後は小学3年生以下の子供や保護者にも調査対象を拡大するとしている。

《木村 薫》

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