こども家庭庁の発足「知らない」子供7割…認知度向上が課題

 2023年4月に発足する「こども家庭庁」について、発足を知らない子供が約7割にのぼることが、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの調査から明らかになった。こども家庭庁に優先的に取り組んでほしいことには「いじめ」や「虐待」に関する回答が多くあげられた。

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こども家庭庁が発足することを知っているか
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 2023年4月に発足する「こども家庭庁」について、発足を知らない子供が約7割にのぼることが、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの調査から明らかになった。こども家庭庁に優先的に取り組んでほしいことには「いじめ」や「虐待」に関する回答が多くあげられた。

 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2023年4月の「こども家庭庁」発足に向けて、子供たちの声を聴き、実態を把握することを目的に、2022年6月15日~7月24日にかけてインターネットによる「こども家庭庁に関する子どもアンケート調査」を実施。全国の18歳以下から1,050件の有効回答を得て、今回、調査結果を発表した。

 2023年4月に新しく「こども家庭庁」ができることを知っていると回答した人は30%。70%は「こども家庭庁」ができることを認知していなかった。「こども家庭庁」に優先的に取り組んでほしいことを複数回答で聞いたところ、「いじめをふせぐための取組み」がもっとも多く14.7%、ついで「無料または安い値段で勉強を教えてくれたり、学習ができる場所をふやすこと」13.9%、「虐待をなくすための保護者への支援」13.6%と、「いじめ」や「虐待」に関する回答が多数あげられた。

 いじめ防止をはじめとした学校における子供の権利保障や、子育てに困難を抱える家庭(虐待、貧困等)への支援、学びの場の提供(学習支援、フリースクール等)に「優先的に取り組んでほしい」とした理由の多くは、自らがいじめや虐待等を受けている当事者であること、身近な人や友人が困っているのを見聞きしたことがあげられている。すでに困難を抱えている子供または身近にそうした存在がいる子供が多く存在していることがわかる。

 一方で、8人に1人(約13%)が「答えたくない」と回答。選択肢には「わからない」もあるが、「わからない」1.9%をかなり上回る子供が「答えたくない」を選択しており、心理的安全性が担保されていない懸念や意見形成支援が必要な可能性が見受けられる。

 身の回りの困っていることや心配なことを相談する相手については、「学校の友だちが」39.3%、「親やその他の家族」29.6%と、身近な人を選択した子供が多数いる一方、「大人には話しにくい」18.0%との意見や、普段の生活では関わり合いの少ない「SNSでつながった名前のわからない人」10.7%、「ちがう学校に通っている同年代の子供」10.4%を選択した子供も一定数あり、「信頼している身近な人」または「関わり合いの少ない人」という二極化の傾向がみられる。

 相談方法は、「LINE等のSNSを使ったチャット相談」が40.1%ともっとも多く、ついで「学校」29.1%、「電話」15.8%。「わからない・答えたくない」との回答も23.1%あり、相談しやすい相手、場所が思いつかない子供が一定数いることが推測できる。

 「子どもの権利」を学校で学んだことがあると回答したのは52%と半数程度。15%は「学んでいない」、29%は「覚えていない」と回答し、基本的人権としての「子どもの権利」をしっかり理解していない現状が危惧される。

 セーブ・ザ・チルドレンは、調査結果を受け、2023年4月の「こども家庭庁」発足に向けて、こども家庭庁の目的や役割、子どもの権利とは何か等についてあらためて広く周知する必要性を示唆。当事者である子供たちが自分たちの権利について理解し、思いを声に、形にできるよう、子供が理解できるような情報提供や意見形成のための支援が求められているとした。

 調査結果はセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのWebサイトから見ることができる。


《畑山望》

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